ある環 R 上の左加群のなす圏 R-Mod はアーベル圏となる。
さらに、R-Mod における複体の全体もアーベル圏となることが容易に
わかる(演習問題としよう)。
一般にあるアーベル圏 C における複体の全体はアーベル圏となる。
この圏を Kom(C) と書く。すると Kom(C) の Kom つまり Kom(Kom(C))
が考えられる。これを Kom^2(C) と書こう。これは C における
2重複体のなす圏と見なせる。同様に続けて Kom^n(C) が定義され、
これは C におけるn重複体のなす圏となる。

さて、C に十分多くの単射的対象があると、Kom(C) にも十分多くの
単射的対象がある。この証明は後で述べる。
よって、Kom(C) の任意の対象 K にたいして、単射的対象による分解
X = (X^q) が得られる。つまり、完全系列

0 → K → X^0 → X^1 → X^2 → ...が得られる。

X は、複体を要素とする複体だから2重複体である。
各 X^q のp次成分を X^(p,q) と書こう。q は非負整数だから
2重複体 X = (X^(p,q)) は上半平面にある。