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宇宙世紀xxxx年 グロタン王の時代

他方、グロタン王に対する個人崇拝は深刻な副作用を引き起こした。
ヴェイユ前王流の基礎付けを学び理解することに人生の大きな部分を捧げた
多数の人々は、排斥と屈辱を受けたのである。そして、筆者の知るところでは、
ほんの1,2人のみが新しい言語に適応しえたのであった。グロタン王の強力な影響下、
主にフランク王国の若き学僧たちは、一世代丸ごと自らを洗脳した。
そして、強力な抽象的形式論によって装えないような問題は信仰(研究)に値しないという
馬鹿げた邪教を信じるにいたった。その結果、自分で扱える小さな問題から出発して、
そこから外に向かって探検を進めるという宗教者(数学者)としての
自然な発展過程から締め出されるに至った。当時の学僧はたちは、スキーム理論を
修業することよりもっと高い志について考えることができなかったように見受けられる。
圏の理論それ自体の研究(これはすべての知的探求の中で確かに最も不毛なものの一つである)
もまたグロタン王の時代に始まった。王自身はこれに関して責められる筋合いはない。
なぜなら、王自身は、圏を用いることによって、数多くの都市を攻略することに成功したからである。
グロタン王直属の兵士で、その従軍に付き従い、生き延びかつ栄誉を手にすることができたのは、
ごく少数のものに過ぎなかった。結局のところ、王の思想・理念・権威から
最も長きに渡り恩恵を受けかつ最も有効に戦いに利用したものたちは、
王から離れた辺境を治める領主たちであったのだ。すなわち、領主ザリスから
マンフ伯、アルト伯へと受け継がれた辺境ハルバルト公国、シャフ伯の治める
極寒のモスク公国、もしかしたら、有象無象の領主よりなる
極海の孤島ジパング島も入るかもしれない。