名古屋大学数理学科 コースデザインより
大域解析特論�U

Cauchyの積分公式に基礎をおく複素関数論は、19世紀に数学の最高峰
といわれるほど高度に発達した。その中でもAbeの加法定理や楕円関数論は
Riemann面上の関数として磨きがかけられ、H.Weylの名著リーマン面(田村二朗訳)
で美しく完成された。それを何とかして高次元化しようとして建設されたのが
岡-カルタン理論であり、小平理論である。岡-カルタン理論は一口に言えば
解析的連接層の理論であり、現代数学に大きな影響を与えた。小平理論は
フーリエやディリクレの思想に端を発する直交関数系の方法を基礎にしているが、
それを岡-カルタン理論に持ち込んで磨きをかける仕事がこの半世紀の間に行われた。
これはいわばL2岡-カルタン理論と呼ぶべきものである。この講義では、Cauchyの
積分公式から、このL2岡-カルタン理論までの道案内をしたい。