佐々木は専門の数学史から離れると途端に論考が雑になる傾向があるようだ。
特にトロツキーの名前が出てくると尻尾を振って大喜びする姿が目に浮かぶ。
『マルクス主義科学論』三章 トロツキイの科学思想―その可能性、より引用
「若きトロツキイはかなり数学や自然科学に関心を寄せていたことが分かる。
まず、1896年オデッサ大学で数学の講義を聴講し、そこの数学教授を訪問し、
数学を将来の職業とすることについて相談しているのである。けれども、彼が
純粋数学に志そうとしたのか、数学を応用とする工学を職業にしようとしたのかについては
審らかにしない。政治運動への挺身がトロツキイにそういった経歴をたどることを許さなかったからである。
いずれにせよ、若きトロツキイが数学に相当な興味を寄せていたことは確かなのである。」
と書いた次の行の冒頭で
「トロツキイのこの若き日の数学への尋常ならざる関心は…」
と、一行で「相当な興味」が「尋常ならざる関心」に変わるのだから、
コイツのはしゃぎぶりこそ尋常ではない。数学の教授に相談ごとをした、それがそんなに凄いか。
この後ロラン・シュワルツのトロツキー評を引用した後
「トロツキイは数学的知性を中心に据えたたぐい稀な理論的知性なのである。」
とまで絶賛する。この男の痴性はたぐい稀なくらいまともではない。