アップルのニッポン植民地経営の深層 “リンゴ色”に染まる巨大工場の苦悩

シャープの亀山工場の中に整然と並ぶ製造装置の一つ一つをよく見ると、小さな緑色のリンゴ型のシールがペタペタと貼付けてあり、
そこに「アップルの固定資産(Property of Apple Operation)」という文字と8桁の管理用バーコードが記されていた。
今や、この工場の液晶パネルはアップル1社にだけ独占的に供給するという、異例の契約の下で稼働しているのだ。

それだけではない。亀山第1工場と亀山第2工場という隣接した2つの工場をつなぐ宙空の廊下には、
シャープ社員がその前の通路を通ることすら禁じられた「秘密の部屋」がある。
そこは、アップル社員が最大30人ほど入れる専用オフィスになっていたのだ。

まるで亀山工場の主は、このアップルなんだぞ――。そう言わんばかりの光景だった。

繁忙期には多くのアップル社員がここを拠点として、本社のある米国カリフォルニア州のクパチーノから発信された指令を受け取り、
工場の一挙手一投足をコントロールする。
「アップルが求めるのは、世界最高の部品と、世界最低の価格だ」(大手電子部品メーカー幹部)

それでも注文がある内はまだ良かった。どんなに安く液晶パネルを買い叩かれても、生産時に不具合やトラブルがあっても、
工場は生産ラインが動いている限りは生きることができる。そして、そこで働く人たちには希望があった。

しかし、クリスマス商戦の最中の昨年12月中旬、アップルから送られてきたiPhone5の出荷計画台数を知って、
シャープの経営幹部らは青ざめた。そこには液晶パネルの発注を半分以下にすると書いてあったからだ。

「もう工場で作るものが、何もなくなってしまった」
シャープのベテラン技術者たちは、自分の力ではどうすることもできぬまま、
この日、巨大な液晶パネルの生産ラインが空っぽになってしまい、途方に暮れていた。