出張の折り通りがかったボロボロの町工場。表札をよく見ると消えそうな字で
「(株)アツプル日本工場」。格子の隙間から覗くと、薄汚れたシャツを着、大洋の帽子を被った
老人と、その奥さんかと思われる、オイルで茶色い割烹着を着たお婆ちゃん。
二人して、トンカチとハトメ抜きでアルミ板に無数の穴を開け続けている。

「社長も殺生や、こないな穴開けて賃金前より安いゆうねんから。オノレは太鼓叩いとるだけで儲けてケツカル」
「しゃーかてしゃあないがな。アメリカの偉いさんが安て寒い箱造れ言いおったからに」
「ところであんた、数おうてるんやろな。687・・・あ、また間違うたがな。やりなおしや」
「ハァ・・・前のハコの時は楽やったんやがなぁ・・・」