冬のある日のことだった、僕たちの事務所に男が訪ねてきた。
その男は何というか、特徴のない、としか言いようのない男で、
実際の所、そんなに感じは悪くない、といった印象しか今でも残って
いない。

なんと言えばいいのか、スーツ、くつ、それから特徴の特にない、
と言った風にしか形容できないのだ。さらに彼にはなまりもなく、
どこの生まれか、などもかすかにも感じることができなかった。
要するに、手がかりのない男と言うことである。その手がかりのない
男が僕をこの奇妙な冒険に巻き込んだのだ。

今、「いるかホテル」でこの日記のようなものをタイプしている訳だ
けれど、この冒険のいきさつは、どうにかして意味が消滅する前に伝
えたいと思う。
伝えなければならないとも思う。少なくともMacintoshユーザには。

iBookでタイプして何とかネットにつないで巨大掲示板に投稿する
のだ。そういったありきたりの方法しか僕には思いつかなかった
けれど、僕にはそうするほかはなかった。少し人里から離れた
「いるかホテル」から何とか誰かに物事を伝えるには、電話や
ファックスは間違いなく役には立たない。新聞や雑誌に投書するに
しても、「いるかホテル」には雑誌の類は置いてなかったし、
新聞も3ヶ月前のものがロビーの隅に畳んで置いてあるだけだった。

冬のある日、ひつじおとこが僕たちの事務所に訪ねてきた。
そこから僕の冒険は始まった。羊男?