「死に脅かされた人間が、必死になって、いわば奴隷的境遇のなかで、対象支配の知恵を身につけ、自然の仕組みに通暁して、
自立性を獲得してゆく、服従と奉仕に根ざした積極的労苦のなかに、人間にとっての労働や仕事の原初的意味が存していると言える。
言い換えれば、人間は、無知と惰性にうつつを抜かしていれば、自分の墓穴を掘ることになるという死の恐怖から、自己の生存の確立に向けて、
対象支配の知恵を学習して、自己の生存の場のなかに自立性の痕跡を打ち立ててゆかざるをえなくなるのである。」

『自己を見つめる』
P105
7章 仕事
4節 仕事と労働の根拠