10月単位認定試験 憲法 問題
2.財産権の保障に関する最高裁の見解を述べよ

解答例

私有財産を公共のために収用し、または使用する権能は、本来、国が有す
るものであるが、具体的にどのような要件、手続の下に私有財産を収用し
、または使用し得るものとするのかについては、これを定める法律の規定
に従うべきものである。土地収用法は、土地等を収用し、または使用する
主体を、その権能を本来的に有する国とするのではなく、同法三条各号に
掲げる公共の利益となる事業(以下「公益事業」という)の用に供するた
めに土地等を必要とする起業者とするとともに(同法八条一項、一六条)
、公共の利益の増進と私有財産との調整を図るという観点から、土地等の
収用または使用に関し、その要件、手続等を定めるものである(同法一条
)。すなわち、同法は、公益事業の用に供するために必要な土地等の収用
または使用の事務を起業者の事務とした上で、私有財産権の保障との調整
を図りつつ、右事務を円滑に行わせるために、段階的に建設大臣を初めと
する同法所定の行政機関の権限に属する行政処分を介在させるなどして、
右事務の遂行に行政上の規制を加えることとしている。このような手続構
造からすれば、起業者に土地等の収用または使用の権限を付与するなどの
事務が、国が本来的に有する前記の権能に由来するという意味において、
国の事務に該当することが明らかであるだけでなく、公益事業の円滑な遂
行と私有財産権の保障との調整を図ることを目的として、起業者が行う事
業の遂行を規制することもまた、起業者に土地等の収用または使用の権限
を付与した国の責務であり、そのための事務も、その性質上、国の事務に
当たるものと解するのが相当である。右のような性質を有する事務を地方
公共団体固有の事務に当たると解することはできない。