名雪のスリーピングは案の定――常軌を逸していた。
 本能の赴くままに徹底的に惰眠をむさぼる――
 珍しいことではない――
 それ自体は珍しいことではない!
 明らかに間違ったスリーピング法!
 適度な量を超えても決っして起きようとはしない。
 時間はとうになくなり、目覚ましはリンリン鳴り続けているというのに、
 決っして起きようとはしない。
 十分すぎる睡眠をとった脳が、
 目覚ましの音とは無関係に彼女の意識を覚醒させた時――
 初めてそのスリーピングは終了する。
 オーバースリープ……
 こうしたスリーピングは世間一般の常識から見て
 明らかにマイナスである。
 学校に遅刻してしまうのだ。
 名雪はその枕元に数十個の目覚ましを配置していたが、
 無駄無駄無駄ァ。
 いくら増やしてもスリーピング法は変わらなかった。
 寝坊してしまっては陸上の朝練に出られるハズもなく……
 死ぬまで眠り続ける気か水瀬名雪。
 葉鍵界の眠り姫――
 世界一ディープなスリーピングをする世界一朝に弱い少女――
 わたしが彼女に対して持つ率直な印象がそれだった。