レパートリーが5つになった。味付けにも自信がある。
(よし…!)
そして、智子はちょっとした作戦を立てる。
智子は、浩之の自宅の合鍵を貰っていた。
浩之が帰宅する前に料理を作って、驚かせようという作戦だ。
浩之に尽くしてあげたい。そんな気持ちが智子を行動させていた。

(学校終わってから急いで買い物したし、また藤田君は帰ってないと
思うんやけど…)
足取りがさらに早くなる。もうすぐ浩之の自宅だ。そこの曲がり角を曲がれば…。
「あっ…」
浩之が歩いていた。
そして、その傍らに、神岸あかりもいた。
手には…たくさんの食材。
二人は、藤田浩之の自宅に入っていった。

二人が幼馴染なのはもちろん知っていた。
彼女が料理が得意で、たびたび手料理を振舞っていたのも知っていた。
彼女より自分を見て欲しい、などと言った事は、ない。
でも。
今は、自分という存在がいる。それを考えると、理屈では説明出来ない程に
腹が立った。その時、彼女はそう感じた。
しかし…本当はそうではなかった。
数分後、智子は、自身の本当の気持ちに気付く事になる。