>>866
その時、一人の少女がその光景を見ていた。偶然だった。
ずっと好きだった幼馴染と、勉強の出来るクラス委員長を。
少女は、場の雰囲気をすぐに理解できた。
自分でも無意識に、身を隠さねばならないと判断させる雰囲気。
(…浩之ちゃん…)
声にならない声。息がつまりそうになる。

急速に仲良くなっていった二人の事は、もちろん気付いていた。
もちろん、簡単に諦められるような想いじゃなかった。
それでも、自分から二人の関係を聞く事なんて、とても出来なかった。
何も知らないふりをして、笑顔を続けていた。
怖かったから。

今、自分がこの場に居合わせた事には、意味があるのかもしれない。
「………」
ピンク色の短いおさげが、ゆれた。
何かを決意したかのように、一歩を踏み出す少女。
その瞳は、まっすぐだった。