電車に乗って、二人揺られる。
 俺とはるかはそれなりに混んでいる席を避けて、
二人でドアの側に立つことにした。
「……いるのか?」
「……いるかも」
 相変わらずいいかげんなはるかだ。
「顔分からなかったら、どうやって断るんだよ」
「んー……」
 どうやら考えてなかったようだ。
 相変わらず(略)なはるかだ。
 それでも珍しいことに、しばらくはるかはうんうんと
唸って考え込んでいた。
 そして、唐突に閃いたらしい。
「冬弥、いちゃつこ」
 ……だからさ、頼むからその結論に一足飛びに
いってしまう癖は止めてくれないか。
「いきなりなんだ、気持ち悪い」
 正直な感想だ。
「だから、私と冬弥がいちゃつけば、相手も諦めるんじゃ
ないかって」
「……なるほど」
「だから」
 ……はるかにしては、割合ナイスアイデアかも。
「分かったよ、じゃあ、手でも握るか」
「ん」
 俺たちは子供の頃のように、お互いの手を握り締めた。
「そういや、はるかと手を繋ぐなんて何年ぶりだろうなぁ」
 確かに子供の頃はよく手を繋いでいた。俺、はるか、そして彰。
 はるかと手を繋がなくなったのは――いつからなんだろう。