──2001年12月26日・瑞希と和樹の同棲部屋にて──

「瑞希、このページのベタ塗り、よろしく頼むよ」
 和樹がアタシにペン入れの終わった原稿を差し出す。
「うん…、わかった…」
 アタシは和樹の気を引くために、わざと元気の無さそうな声で返事をする。
「よーし、入稿日まで、あと二日だ。パパ修羅場モードに入っちゃうぞー」
 アタシの素振りにも気付かずに、和樹は変なことを口走って、再びペン入れを始める。
 もおっ! 和樹ったら、今日が何の日か忘れちゃったのかな。
 今日は葉鍵板の最萌トーナメントで、アタシと月島瑠璃子さんが対決する日だってのに、
和樹は朝起きてから、ずーっと原稿描いてばっかり。
 何日か前に、ちゃんと今日のことは伝えておいたのに、ネットに繋ぐことすらしないんだから。
「ねえ、和樹。今日は26日なんだけどさ、何か大事なこと忘れてない?」
「んー? 何かあったっけ?」
 ああっ、もうっ! コイツ、完全に忘れてるわっ!
 こうなったら変に期待しないで、ズバッと言ってやるべきね。
「あのさ、葉鍵板の最萌トーナメントで、アタシと瑠璃子さんが対戦してるんだけど」
「おー、そういえばそんなもんがあったような」
 そ、そんなもん…。釘バット出そうかな。いや、ここはひとまず我慢して。
「そろそろ息抜きがてら、和樹も投票してみたらどうかな?」
「そうだな。気分転換に一票投じてみるか」