葉鍵板最萌トーナメント!!2回戦 Round82!!
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01/12/26 02:04ID:7JzYJyB5彼女の顔に雪玉があたって、きょとんとした表情になる。
それから彼女は笑って、僕に雪を投げ返す。
――それはもちろん。僕がもう、手に入れようの無い思い出だ。
冷たい鉄の扉を押し開けて、雪の積もった屋上に出る。
「雪はね。あっちからこっちに電波を届けてくれるんだよ」
手摺りにもたれて背中を見せたままの、彼女が言う。
「水は電波を吸い込むんだけど、雨だとそのまま流れていっちゃうから。雪は、積もるでしょ?」
「ああ、だからだね」
「うん」
自分が知るはずのない思い出も、それも多分彼女が僕にくれたものなのだろう。
「長瀬ちゃん」
「?」
彼女のいたずらっぽい微笑みのあとに、視界が白く弾けた。
雪玉をぶつけられたのだということは、肌に伝う冷たさで理解した。
「わたしの勝ちだね」
楽しそうな声が、耳に残る。
雪を払って目を開けると、そこにはもう、彼女はいなかった。視界を転々と埋めるのは、
降り注ぐ雪ばかり。
そのことを別に僕は、不思議には思わなかった。病院にいる彼女が、ここにいるわけは
ない。当然のことだ。
たださっきの雪が冷たくて、僕は片手で頬を拭った。
彼女がいた手摺りの傍に立ち、下を眺める。
玄関からはひきりなしに生徒たちが吐き出されてゆく。
今日は終業式。そしてクリスマスだ。
僕にとっては、ただそんな名前があるだけの日。
だけどときおり仲良さげに並んでゆく二人連れは、ホワイトクリスマスを喜ぶだろうか。
瑠璃子さんの雪は、だけど僕にも、そんな彼らにも、平等に優しく降り注ぐのだろう。
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