<ルミラのクリスマス> その1

 ここはルミラのアパート。
 かつて魔界で権勢を誇ったルミラ一族も、いまは六畳二間のアパートで雑魚寝の身分だった。
 そんなある日。
 アレイは、部屋の掃除と飾りつけをはじめた。
「きよし〜♪ このよる〜♪」
「アレイ、一体なにやってるにゃ」
「はい、今日はクリスマスですから」
 たまの質問にアレイが返事を返す。
「なんでえ、キリスト教のお祭りかい? あたいら魔族には、関係ねえだろ」
 イビルが反応した。何か不機嫌そうだ。
「いいじゃありませんか。今日は人間界にとっておめでたい日です。わたしたちも人間たちと共存している以上、一緒にお祝いしてもよろしいじゃありませんか」
「け、くっだらねえ」
 掃き捨てるように言うイビル。
「はいはい、イビル。エビルが芳晴くんとデートしているからって、アレイにあたってもしょうがないでしょう」
「な、なんだよメイフィア。別にエビルは関係ないだろ?」
 そう反論しながらもイビルは焦っていた。図星だったのだ。
「それにね、エビル。クリスマスはもともとキリスト教徒のお祭りじゃないの。地方伝承だったサンタクロースが、もともと不明だったイエス・キリストの誕生日と結びついて出来たのがクリスマスなのよ」
「……知ってるぜ、そのくらい」
 エビルは、掃き捨てるように言った。
「人間界に出てから、日も長くなります。いつもわたしたちはルミラ様に気を使わせておいでですから、たまにはこうしてパーティを開いて楽しませてあげたいと思いますので」
 アレイに言われて、日頃、仲間うちでのいざこざのとばっちりでルミラに迷惑をかけどおしのイビルは神妙に感じた
「……そうか、そうだよな」
「エビルは反省するニャロメ!」
「おめえが言うな、おめえが!」
 いざこざを起こすもう一方の当事者であるたまの余計な一言に、イビルは怒気を感じた。