今日の詠美はこみパに参加です。
 いつものように、愛しいしたぼくである和樹と一緒に会場入り。そして売り子を手伝って
くれるみんなに声をかけてから、さっそくサークルスペースの準備です。
 ダウンジャケット姿の詠美は今朝も元気いっぱいです。慌ただしいサークルスペースの
ど真ん中で仁王立ちになると、早速あれこれ指示を飛ばし始めました。忙しそうに表情を
引き締め…あるいはどこか迷惑そうな顔で作業を進める売り子達の様子に、詠美も
満足そうに腕組みしてコクコクうなづきます。
「そうそう、その調子で準備しちゃって!今朝も一般入場は大蛇の列だったわよ!
ぼけっとしてるとすぐに会場の外までお客でいっぱいになっちゃうんだから!
あ、そこの本はそっちに置いて!あ、そこのあんた!さいこーびの看板用意して!」
「…朝っぱらから教養の無さを露呈してんじゃねーよ。お前もちょっとは働けよなっ!」
「ふみゅっ!いったぁ〜い…ちょ、なにすんのよ、ポチきっ!!」
 詠美の言葉に嘘偽りはなく、彼女のスペースには毎回驚くほどの人が同人誌を
求めてやってきます。ですから、机の上に本を並べただけで準備終了、開場までの
時間を緊張とともに待つ…といった悠長なことはしていられません。
 和樹も準備会の許可をもらい、客の列を整理するためのテープを会場外に張り付けて
いたのですが…ひとりふんぞり返ってニコニコしている詠美の姿に不満を抱き、
軽く小突きながら声をかけました。詠美は頭を抑えて振り返るなり、膨れっ面に
なって彼を睨み上げます。