勝負はいつだって、緊張する。どきどきと心臓が早鐘を打って、身体中の血液がぐるぐるまわっているのが分かる。
レースの前はいつもそうだった。
だけど今日は、違う。もっと重くて、もっと負けられない、そんな気持ち。

「郁未さん、がんばってくださいね! もう、徹夜で応援しちゃいますから!」
「ま、やれるだけやんなさいよ? 別に勝っても負けてもどーだっていいけどね」
「わたしは見守ることしかできませんけれど。…あなたに、祝福がありますように」
「妹の顔、立ててやってよね」

声。声。仲間たちの声。由依。晴香。葉子さん。友里さん。
それにせいいっぱいの笑顔で応えながら、わたしは会場への長い道を歩く。