そうして、業者の人らしき人は、セリオを運び出そうとして・・・はたと
手を止めた。
「奥さん・・・このロボット、笑ってますよ?」
「え?そうなんですか?私にはそうは見えないですが」
「この13型は・・・私の記憶に間違いがなければ、まだ感情面の
 技術的サポートが不完全な頃でしたから、感情表現が顔に表れて
 いるのは普通考えられないんですが・・・。それに、これは・・・
 ひょっとすると涙の跡かな・・・そんな機能付いていなかったはずだけど。
 うーん、不思議な事もあるもんだ」
「・・・」
今まで、そんな事を意識した事は無かった女主人は、その台詞の衝撃に
目眩すら覚えた。このメイドロボットを床下倉庫の中に入れたのは私だ。
また何か頼み事があるまでここにいるように言ったのは私だ。
その時、このメイドロボットも「――わかりました」と言って中に入っていった
のではなかったか。
今更ながら、後悔の念がこみ上げてきた。このロボットは私の知らない所で
泣いたりしていたのだろうか。だとしたら・・・。
女主人は大粒の涙をこぼし、この家を後にした、
メイドロボット・・・彼女に向かって深々と頭を下げたのだった。