と。突然頭の中で警報が鳴り響いた。
『電力不足です。電力不足です。すぐに外部からの電源供給を
 行って下さい。今まで蓄積されたデータが消去されます。繰り返します。
 電力不足です・・・』
・・・ご主人様との記憶が、消える。すべて、消える。
ついに来るべき時が来た。いつかはこうなるだろうと思っていたけれど。
しかし、何かが出来る訳ではない。もう、私には指一本動かす力も
残されていない。
視界が揺らいで、かろうじて隙間から漏れていた明かりで見えていた
景色が暗転してゆく。
何も見えない。警告音も不安定に揺らぎ、そのうち聞こえなくなってきた。
そんな、ぼんやりした思考の中で、セリオは過去の自分の姿を振り返っていた。

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『セリオ・・・』
ふと、呼ぶ声が聞こえる。
『セリオ・・・』
視線を上に上げると、そこには決しているはずのない、ご主人様の姿があった。
『セリオ・・・迎えに来たよ』
ご主人様はセリオに微笑みかけ、手を伸ばす。
『――ご主人様』
それに答えてセリオも手を伸ばす。
2人の手がお互いを引き寄せ、しっかりと抱きあう。
『――ご主人様、会いたかったです』
『――ご主人様、独りぼっちは辛かったです』
『――ご主人様、』
『――ご主人様、』
「・・・ご・・・しゅ・・・さ・・・」
蚊の鳴くような声で、何もない空間に向かってセリオは呟いた。