クリスマス・イヴ。
恋人たちが愛を語る夜。
そんな聖なる日に、牧村南は一人で、こみパの後片付けの指揮を執っていた。
「……南さん」
鈴香はそんな南を、ただ黙って見ていた。
一見穏やかに作業をしているようだが、実はかなり焦っているのが、鈴香にはわかる。


――私、千堂さんに言ってきます。“南さんは来れない”って。

鈴香は南にそう言って、そして和樹にそう伝えた。
でも。
南は和樹の元へ行くだろう。たとえいないとわかっていても。
和樹は南を待つだろう。たとえ来ないとわかっていても。
(………………)
何だろう。このモヤモヤした気持ちは。
何故だろう。こんなモヤモヤした気持ちになるのは。