>>427

「…うん…?」
「気が付いた?」
「妙に頭が心地いい、石鹸の爽やかな匂いもする…確か頭に踵落としくらって…っておいっ」
気が付いて慌てて飛び起きる。
知らぬ間に坂下の膝枕で介抱されていたのだった。
場所もいつの間にか境内の日陰に移されていた。
「大丈夫そうだな」
「というか…いろいろな意味で驚いたよ」
目つきこそは相変わらずだが心底から心配していたという雰囲気は感じられる。
「あのまま捨てていく訳にもいかないしな、それに私の勝ちだ」
言葉に含みを持たせる。
「あぁ、負けたよ。それで何を期待している」
「…」
かすかに顔が赤くなり黙り込む坂下、浩之が目ざとく見抜く。
「何だよ、その顔は。俺とデートしたいとでも言うのか?」
「…そうだ、と言ったらどうする?」
「…」
今度は浩之が黙り込む。
「いや、冗談だ…」
「いいぜ」
「え?」
思い切った決意を茶化しただけに予測外の反応に戸惑いが見える。
「あんたの勝ちだからな、ただし行くなら遠出になるぞ、志保に見つかったら何て言われるか…」
葵ちゃんにも、と言いたかったがあえて言わずにおく。