会場は広かった。しかも、結構な人数がいて、ほとんどが知らない人ばかり。
案内してくれたセバスチャンさんはすぐに他のところに行ってしまったし。
とりあえず、綾香にあいさつしないとね。
きょろきょろ見回していると、横合いから、聞きなれた声が私の名前を呼んだ。
「あら、好恵じゃない。遅かったわね」
綾香だ。なんていうのか、その、すごい格好をしている。すごいって言っても、とんでもないとかそういうのではなくて、
多分、私なんかは一生のうち一回着るかどうかわからないようなドレス姿。
こうして改めて見ると、綾香は美人だ。その上強い。さらに性格も良い。
なんか、私が適うところなんて、全然無い気がしてきた。
「へぇ」
にっこりと笑って、綾香が上から下まで視線を動かす。恥ずかしいからあんまり見るな。
「かわいいじゃない。そういう格好も似合うわね」
う。何で赤くなってるんだ、私。
「葵にも見せてあげなくっちゃね」
「あ、綾香、その、あんまり余計な真似を・・・」
止める間もなく、綾香が葵を探しに行く。あ、あそこにいた。う、藤田も一緒だ。
なんだよ、藤田まで来るな。
パタパタと駆け寄ってきた葵は、デニムのジャンパーにGパン。ずるい。全然フォーマルじゃない。
それで良いんだったら、私もその格好で来たのに。
「わぁ、坂下さんすごく可愛いです」
葵が目を丸くしている。当たり前だろうな。私のこんな格好見てるんじゃ。
「そう思うでしょ、葵。好恵も、背が高いし足も長いんだから、もっとおしゃれしてみたらどう?色々と似合う服があると思うけど」
「そうですよねぇ。私は背が低いから、うらやましいなぁ。」
私を肴に、すっかり二人で盛り上がっている。その横で、藤田がじっとこっちを見ていた。