<トラ!トラ!トラ!(2)>

 その言葉にかちんときた由宇は、ようやくいつもの調子を取り戻した。
「んなことあるかいっ! そこであきらめてどないすんねん!」
「え?」
 きょとんとして顔を上げる少女。
「自分、名前はっ!?」
「は、はいっ、古河渚、ですっ 」
 思わず気を付けの姿勢になって答える少女…渚。
「うちは猪名川由宇やっ! よっしゃ、渚、遅れるんやったら、
ワンテンポ早く行けばええんやっ!」
「は、はいっ!」
「行くでっ! かっばせー!」
「か、かっとばせー!」
「もうちょい、もうちょいやっ!」
「はいっ!」
「せーのっ、」
『かっとばせー!』
「よっしゃーっ!」
「やったーあっ!」
 ぱん、と両手を打ち合わせる二人、一瞬後、素に戻った渚が、
かあっと、頬を赤らめるが、由宇は平気の平左である。
「よーし、いくでぇっ!」
「はいっ!」
 そんな調子で試合は進み…。