>>52の続き。相変わらず遅れてるけど(藁

 昼休み――昼食時は学生にとっても憩いのひとときである。
「♪吾は官軍我が敵は〜天地容れざる朝敵ぞ〜」
 今日の朝の一件から、南明義は誰にも増してご機嫌だった。ほんの些細な出来事だったが……。
「♪敵の大将たる者は〜古今無双の英雄で〜」
 そのためか、小声ながらもお気に入りの歌が口から自然と出てくる。
 彼は先ほど「学校の田原坂」購買部の戦いに参戦してからくも勝利――人気メニューの一つ、カツサンドを
手に入れていた。今はそれを持って中庭へ向かっている。
 今日は天気がよいので、外で食べたら気持ちがよいのではないか。そう思ったのだ。
「これに従うつわものは〜共に剽悍……あれ?」
 庭に出てどこか腰掛ける場所を探していると、ある光景が南の目に入った。
「あれは……里村?」
 ちょっとした大きさの木の下に、里村茜が座って食事をしようとしていた。


「あの、ここいいかな?」
「……」
 訝しげに南を見つめる茜。そんな彼女にも、南はつい「可愛い」という感情を抱いてしまう。
「いや、今日は中庭も人がいっぱいでさ、適当な場所が見つからなかったんで……」
 気を取りなおし、苦しい言い訳をしてみる。すると彼女は微かに頷いて、小さい声で言った。
「……はい」
 答えを確認した南は「ラッキー」と内心で喜びつつ、その下心を顔に出さないように注意して腰を下ろす。
「どっこいしょ」
 と、中年のように口走って茜のすぐ隣に座った。先ほど買ってきたカツサンドの袋を破る。
「……」
 しかし、憧れの少女と隣り合わせに座っていても、なにを話していいのか皆目見当がつかない。
(か、会話が続かない……)