<あたしに清き一票を> その1

「ただいまぁって、誰も居ないマンションに声をかけるのも虚しいよな」
「お帰り! 芳晴!」
「うわぁ! ってなんだ、コリンか」
「なんだとは何よ? せっかく人が暖かい雰囲気で出迎えてあげてんのに」
「お前なあ、鍵をかけたマンションに勝手に上がり込むなっていつも言ってるだろ」
「ふふふ〜ん。壁抜けの出来るコリン様に、鍵なんて意味無いわよね〜♪」
「威張って言う事か!?」
「まあまあ、怒らない怒らない。せっかく芳晴のために食事を用意したんだから」
「食事……、うわっ。野菜サラダにサンドイッチ、ローストビーフに豆腐そうめんにコロッケ、おまけにみそ汁……むちゃくちゃな組み合わせだなあ」
「いやあ、コリン様にかかれば食事なんてあちこちのデパートでちょちょいのちょいよ。安かったし、手間も掛かんなかったし」
「やっぱり、出来合いのものばかり買ってきたんだな」
「ふふー、いつも芳晴にはお世話になってるからね。これはほんのお礼」
「不気味な奴だな。いつもはお世話になって当然っていう面(ツラ)してんのに」
「へっへー、やっぱバレるか」