「いっらしゃいませ〜」

店内に入ると、澪は迷わずカウンター席に座る。
オレは後をついていくだけだった。
そして、澪はおもむろにポケットから単語帳を取り出す。

「何だそれ?」
『寿司屋専用単語帳なの』
「?」
『あらかじめ食べたい寿司ネタを書いておいたの』
「…準備がいいな」
『当然なの。開いたカードの寿司ネタを読んで欲しいの』
「ああ、分かった」
『まずは』

澪は手早くカードをめくり、オレに見せていく。
ええと……ネギトロ、数の子、甘海老、牡丹海老。
う、最初から高そうなネタを。

「な、なあ、澪。サバとかどうだ?」
『光りモノは嫌いなの』
「そ、そうか(汗)」

その後も澪は遠慮なくネタを注文していった(読み上げるのはオレだが)。
オレは、玉子やイカなどのなるべく安いネタばかり注文していた。