ガシャッ!
鳴り響く大きな音。
トレイが床に落ちた音。
学食中の注目が、わたしと男子生徒――浩平さん――に集まる。
わたしは浩平さんにぎゅっと抱きついていた。
浩平さんは頭から豪快にラーメンの汁をかぶっている。
舞台衣装を着た女子生徒と、頭からラーメンをかぶった男子生徒が抱き合っている。
端から見れば滑稽な姿だろう。

(でも、わたしにとってそんなことは関係ないの)
(だって、浩平さんは約束を守ってくれたから)
(帰ってきてくれたから)

「…熱烈な歓迎だな、澪」
『一年も待たせた罰なの』

もっと他に言うべき言葉がありそうなのに、相変わらずの軽口を叩く浩平さん。
わたしはむっとして反論する。

「…一年もたってたのか。長い間待たせて悪かったな」
『お寿司食べ放題で許してあげるの』
「はは、分かったよ。お寿司おごってやるから機嫌直してくれ」

言葉が途切れる。
お互いをじっと見つめあう。

「ただいま、澪」
『お帰りなさいなの』

心配した演劇部員の女の子が駆け寄ってくるまで、わたしたちはずっと抱き合ったままでいた。