ようやく落ち着きを取り戻したまゆちゃんの様子に一安心しながら、再び2人でひと気のない路肩を歩む。
「ごめんね、千堂君・・・」
いつもなら俺に迷惑をかけても飄々としていた彼女だが、さすがに今日は悪いと思ったのだろう。
すでに先程の覇気はすっかり影をひそめていた。
「ははは、まゆちゃんが酒癖悪っかたとはねぇ。ちょっと意外だったかな?」
「・・・・」
「あ、ごめん・・・」
「ううん、別に・・・」
多少のボケと突っ込みでやりすごせるような会話すらこの調子だ。
よほど今回の一件がまゆちゃんにとって辛かったことがわかる。
「・・・ねえ、千堂君」
「ん?」
「玲子のこと、好きなの?」
思わずなにもないところでこけそうになる。
「い、いきなり何言って・・・!」
「好きなの?」
「・・・わかんねえ・・・ただ、玲子ちゃんのコスにかける情熱っつーか、ひたむきさっつーか・・・
 玲子ちゃんのそんな所に、俺は惹かれてるんだと思うけど・・・それが好きってことなのかどうかは・・・
 はは、いけね、俺もだいぶ酔ってるみたいだな」
「そっか・・・」
「なんでそんなこと聞くんだ?」
「ううん、別に・・・あ・・・」
不意にまゆちゃんの身体がよろめいた。街灯の明かりで、居酒屋では赤かった顔が青白く変化していることに気付く。
俺は慌ててその細い身体を受け止めた。
「ちょっと休んだほうがいいな。こっからだと俺の家が一番近いけど・・・どうする?寄ってくか?」
言い切ってからしまった、と思う。純粋にまゆちゃんの身体を気遣って出た台詞なのだが、
今の会話の流れからすると不用意な発言だったのではないか、と思ってしまったのだ。
もしかして、まゆちゃんは・・・
「・・・うん」
俺のそんな危惧を知ってか知らずか、彼女は素直に頷いていた。