「大丈夫か?」
ぐったりと丸まったまゆちゃんの背中をさすりながら、そう声をかけた。
「・・・何とか生きてるみたい・・・」
最後の居酒屋を出た後で、今日3度目のリバースを迎えたまゆちゃんを介抱しながら、夜の路肩を歩いている。
毎月楽しかったはずのこみパの打ち上げだが、この日は少し空気が違っていた。
その原因がまゆちゃんにあることは明白だった。会話も普段通りの盛り上がりをみせず、結局遠距離の
美穂ちゃんと夕香ちゃんとは一次会で別れ、玲子ちゃんも明日はバイトが朝からのシフトだというので、
俺たち2人だけで飲みなおすことになったのだ。

「おいおい、さすがにこれ以上はやばいぜ、まゆちゃん・・・」
顔を真っ赤にさせ、ジョッキまで飲み込んでしまいそうな勢いのまゆちゃんの腕に手をかけて言う。
テーブルの上には気が遠くなるくらい殻のジョッキが並べられている。言うまでもなく、
そのほとんどはまゆちゃんが平らげたものだ。
「っさいなあ、もう!ほっといてよ!」
いつものまゆちゃんからは想像もできないほどの剣幕である。
「気持ちはわかるけどさ、大丈夫だよ、みんな気にしてないって」
「みんなは気にしなくてもボクは気になるのっ!」
そう言うと再びジョッキの取っ手を掴む。
「・・・ボクだけ原稿落としちゃうなんて・・・しかもよりにもよって、
 ガッシュ様の誕生日本に間に合わなかったなんて・・・」
「でも、その分今回の衣装は気合入ってたじゃん?俺も結構コスプレブースには慣れてきたつもり
 だったけど、それでもあんなカメコの群れをみたのは始めてだよ。玲子ちゃんだってうらやましがってたぜ?
 ほんと、よくできてたよな。あの天使の羽なんか特に・・・」
「うぐぅ、そう言ってくれると嬉しいけど・・・やっぱ言い訳になんないよ〜」
「コスしてたときの口調に戻ってるぞ・・・」
「ガッシュ様だよ?総帥とは1ランクも2ランクも違うんだよ?みんなの意気込みも見たでしょ?
 そんな中、ボクだけが・・・ね?わかるよね?千堂君なら!
 ねえったらねえ!・・・うっぷ・・・ちょ、ちょっとトイレ・・・!」
こりゃだめだ。そう決断して伝票を手に取る。ビールばかりもの凄い数になっていた。
「すいませーん、おあいそお願いしまーす」