そして、事件はそれだけではなかった。
 とある日いきなり吉野家のドアが荒々しく叩き開かれるとそこには鬼の様な形相をした舞が立っていた。
「祐一をだせ!」
 物凄い怒鳴り声が響く。
 今までの舞を知っている人間からは想像も出来ない位怒気に満ちた表情をしていた。
 やがて出て来たバイトの祐一に掴みかからんばかりの勢いで捲くし立てる。
「お前、メニューに何をした!」
「あぁ、最近『ねぎだくできますか?』って聞いてくる客が多いからな、『ねぎだく可』って書いておいた」
「消せ!」
「何を言ってるんだ?」
「いいから消せ!」
「何をわがままを言ってるんだ?」
「ねぎだくは吉野家通のための最新流行だ! それ以上でもそれ以下でもない! 消せよ!」
「そんなにド素人を小一時間問い詰めたいのか……」
「いいから消せ!」