<イビルのペンダント> その3

「へえ、ここ、きれいなアクセサリーが多いねえ」
「へっへー、お姉さん。うちのアクセサリーは、本当に魔法の効果があるんだ」
 女子の言葉に相槌をうつイビル。
「例えば、この入れ物になっているブローチ。ここに願い事を書いた紙を入れれば、それが叶うという効果がある」
「その通りにゃ。例えばここに、
 『《最萌トーナメント》でイビルが恥を書きませんように』
 という願い事を書けば、ファンが同情して<<イビル>>に1票って書いてくれるという素晴らしい効果があるにゃ」
「てめえは黙っとれ!」
 余計な解説を付け加えるたまを、イビルは黙らせる。
「ふーん、このペンダントはどんな効果があるんだい?」
「それはハートブレイク・ペンダントだな。恋人たちが互いに片方ずつ身に付ければ、その恋が危機を迎えたときに効果を発揮して二人の仲を結びつけてくれるという言い伝えがある。デートの記念にどうだい、兄ちゃん」
「へえ、素敵な言い伝えねえ。一組どうかな、冬弥くん」
「まあ由綺がそういうなら。お守り代わりにちょうどいいかも」
「毎度どうも」
 ペンダントを購入して去っていくカップルを見送るイビルたち。
「イビル、いいのか? あのペンダントはそのカップルの間に障害を次々と発生させるという効果も確かあったはずだったニャロメ」
「まあ、そうだ。魔法には付き物の効果の代償ってやつだな」
「それ知っててあの純朴を絵に描いたようなカップルに売りつけたんか? お主も悪魔だにゃー」
「嘘は言ってないぞ。雨降って地固まると言うだろ。障害が大きければ大きいほど、恋もまた盛り上がるのもまた事実だ」
 悪魔の笑みを湛えながら、イビルはそう呟いた。