<イビルのペンダント> その2

 そのルミラとともに人間界に訪れたのが数年前
 その時の事件で破産したルミラ一族は、以後各地を転転としながら、差し押さえられた屋敷を取り戻すために地道な商いで日銭を稼いでいる毎日だった。
「あーあ、魔界じゃあ権勢を誇っていたあたいたちが、何の因果でこんな商売やらなきゃあかんのだろねえ」
「悪魔にゃら魂の契約で人間の魂を差し押さえればいいのにゃ」
「ばかやろう、それが出来ねえから苦労しとるんじゃないか」
 事実である。
 天界と魔界との間で結ばれたステュクス条約──人間界への過度の干渉を禁じるこの条約が結ばれている。そのため悪魔といえども強引に人間を誘惑して堕落させることが出来なくなってしまったのだ。
 そのためイビルたちは、みなそれぞれ人間界でバイトに付いている。
「ねえねえ見て見て。これかわいい」
「へえ、露天商か。ここらじゃめずらしいね」
「あ、いらっしゃい!」
 そんなイビルの露天商に、一組のカップルが訪れた。
 年は高校生、あるいは大学生だろうか。一人は目付きの優しい風貌を持つ青年であり、もう一人は美人ながら素朴な雰囲気を持った女子だった。