「ああ…」
浩之は優しげい笑顔をマルチに向けた。
「俺なんか天サバオンリーだ。自慢じゃないが、こないだオールキャスト4連続外すという神業をやってのけた。しかも実話だ」
「……」
マルチは黙り込んでしまう。
「浩之さん…わたし…」
「何も言うな、マルチ」
浩之はマルチの頭にポンと手を乗せる。
「サバを引けなくたって、明日はあるじゃないか」
「はい…そう言われると、敗者で傷をなめ合っているみたいでなんだか嬉しいですぅ」
「なんか引っかかるような気はするけど、まあいいか。よし、これから獣王でも打ちにいくか」
「はい、がんばってオールキャスト外しましょう!」
「狙ってできるもんでもないんだけどな…」
そう言う浩之の顔はなぜか、笑顔だった。