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SS統合スレ♯7

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0001名無しさんだよもん01/12/03 22:20ID:TGXKCPLZ
 SS・シチュを始め文章系の作品はこちらへ.
葉鍵に関係有れば力作,実験作等もOK.

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※SS投稿の告知があった場合は,投稿を優先させてあげましょう.
※板が重くならないように,長文投稿後しばらくはageない方が良いでしょう.
※スレの寿命を伸ばすために,雑談などではリンクの使用を控えよう.
  かちゅーしゃ対応(>1,>1)がお勧め.
0046第8航空軍 ◆eBbp7yEo 01/12/17 11:16ID:B5WG/6df
>>25-45 北川×香里18禁SS「こころとからだ」

……これで祐一×香里派を完全に敵に回したな……(汗
後が怖いので、トーナメントスレに投下したら名無しさんだよもんに戻ります(w
最後に、この作品をマイナーキャラスレの北×香派、
そして北×香派最右翼(藁、おおさか@つちへん氏に捧げます。
(要らなかったらスマソ)
God bless KITAGAWA and KAORI.
0047なにがしだよもん ◆ie2wgyeo 01/12/18 03:15ID:Hq51ikPS
>>25-45 『こころとからだ』

誤解を恐れず言うなら、面白かったし、楽しめた。

煮え切らぬ二人の関係を進展させるため、謎ジャムを用いたのは
やや強引な気もしたが、その後の18禁描写が山あり谷ありで
楽しめたので、問題はないと思う。
18禁パートであるが、ライト風味でありながら、意外なほどネチネチと
描写が続くところが何げに良い(香里の乱れ方がやや派手なのは気に
なったけれど、意外にこの人、突き抜けるとこうなのかも知れませんね)。
後日談も、北川が漢らしくまた愛があって良かった。ごちそうさまだよ、
コンチクショー(笑)

香里が北川と最初からラブラブな点、北川があまりおちゃらけていない
点については、批判派からあれこれ言われるかも知れない。
しかし、こういうアナザー(?)な結末に至る作品もあって良いと思うのだ。
0048名無しさんだよもん01/12/18 19:19ID:Z9v2rOyM
>>25-45『こころとからだ』
あんま言いたくないが、某同人誌と内容が同じなんだけど…
本日ハケーソした「北川くんハイ!」ってやつなんだけど…
これってもしかして…二次創作ならぬ三次創作ってやつかい?
それともその同人誌の作者本人?
マジレスキボーソ!
0049第8航空軍 ◆eBbp7yEo 01/12/18 20:36ID:Hmooarbv
>>47
わーい、なにがしさんに感想を貰えたYO! ありがとうございます。
>謎ジャムを用いたのはやや強引
自覚してます(藁 しかし北川を暴走させる理由が見つからなかったので安易な方法を
選んでしまいました。
18禁ってのはえちシーンだけでなく、そこに至るまでのシチュエーションをどうするかも難しいですね。
>香里の乱れ方がやや派手
「北川にいたぶられて気分の高まるかおりん→正気に戻った北川を受け入れるかおりん→激しく乱れるかおりん(;´Д`)ハァハァ」
という図式は執筆構想時からの基本コンセプトなので(藁
>香里が北川と最初からラブラブな点
両想いになるまでの経緯を書くと、えちSSというより北川のシナリオっぽくなるので
……スマソ、思いつきませんでした(汗 批判派の批判はあえて受け入れます。

>>48
私は絵を描けません、完全な別人です。ちなみに私も持ってます(藁>「北川くんハイ!」
ちなみに「こころとからだ」書き上げたあとに「北川くん〜」を秋葉原の虎で買ったので、
内容が一部かぶってしまったとは思いましたが、一応こっちにはギャグの要素はないので
ここへの投下を決意しました。
いやしかし、同人作家に間違われるとは思わなかったなぁ。やっぱ2ちゃんは面白いや(w
0050うみたん ◆.RUCxbYc 01/12/19 14:03ID:/IpnH9Mw
>内容が一部かぶってしまったとは思いましたが、一応こっちにはギャグの要素はないので
>ここへの投下を決意しました。
>いやしかし、同人作家に間違われるとは思わなかったなぁ。やっぱ2ちゃんは面白いや(w

つっこみどころ?
0051SS職人@見習 ◆SSLuvQ3. 01/12/20 02:08ID:u3810Po1
えー、セリオSSを今から上げさせていただきます。
シリアス系です。
0052タイトルなし 101/12/20 02:10ID:u3810Po1
お断り:劇中のセリオはHMX-13ではなく、HM-13です。

特に不自由は無かった。
ただ、興味だけがあった。
ショップのショールームで一目見て、正しく衝動的に買った。
別にどれでも良かった。例えば、姉妹機のHM-12でも、それこそライバル社の
HANDAのASM-18でもなんでも。
一人暮らしの日々の家事にも嫌気が差してきた所だったし、『丁度いいか』、
という感じで、契約書にサインしていた。
正しく高級外車一台分ほどの値段だったけど、別に懐が痛んだわけでもない。
お金なら、そこそこ贅沢してもまだ有り余るほど有るのだから。
納入されてすぐ、僕は彼女に仕事を言いつけた。
特に部屋が散らかっていたわけではない。
ただ、彼女が『動いて何かの作業をしている』のを見たかっただけだ。
彼女も『さほど部屋が散らかっているようには思えませんが』と反論する訳
もなく、ただ黙々と部屋を掃除していた。
それで十分だった。
『ああ、やっぱり命令どおりに何でもするんだな』
と思った。
興味はすぐに失せて来た。
いずれ、彼女は僕の元からいなくなるだろう。
意味も無くTVやステレオなどを買い換えるのと一緒だ。
飽きたら捨てればいい。
いや、下取りに出して、新機種に買い換える手もある。
そう思っていた。
僕は、買ったHMであるセリオを『機械』としか、認識していなかった。
そう、この時は。
0053タイトルなし 201/12/20 02:11ID:u3810Po1
「ご主人様、ご夕食のメニューなのですが・・・」
掃除も終わり、日が暮れかかった頃、セリオが申し訳なさそうに両手を前で合わせ、
そう言った。
声の質的には申し訳なさそうな声なのだが、その表情自体はまったくの無表情だ。
「ん、どうかした?」
特に気にするでもなく、僕はそう尋ね返す。
「フリーザーの中を拝見しましたけど、材料がありません」
ああ、そういえば、と僕は一人で納得して、頭を掻いた。
「ペットボトルのお茶と調味料ぐらいしか入ってなかったろ」
悪びれもせず、僕はセリオに向ってそう言いながらポケットから財布を取り出した。
使ってない財布があったので、僕の財布から数枚の1万円札を取り出して入れ、セ
リオに渡した。
「毎月これぐらい渡すから、計算してメニュー考えて」
と言うと、セリオは少し首を傾げ、また僕に尋ねてきた。
「了解いたしました。特に苦手なもの等があればお教え願えませんでしょうか?」
それに僕は返答出来なかった。
嫌な質問だった。
脳裏に浮かんだのはどす黒い赤。割れたガラスの欠片。他人の、驚愕した顔。
そして・・・。
「・・・ご主人様?お気分でも優れないのでしょうか?」
セリオの心配そうな声に僕は意識を引き戻された。
頭を一振りして、浮かんだ光景を振り払おうとする。
「いや、なんでもない」
未だに心配そうな仕草で僕を見るセリオにそういうと、セリオは安心したかのように
頷いた。標準動作だとしても、それは見た目には本当に心配したかのように見えた。
「・・・肉。特にミンチ肉だ。あとぐちゃぐちゃしたものも嫌いだ」
なんとなく気恥ずかしくなったので、早口でそう伝える。
セリオはただ、頷いた。
復唱して、確認しないのが僕には嬉しかった。
0054タイトルなし 301/12/20 02:12ID:u3810Po1
それから数日が過ぎた。
特に問題が起こるわけでもなく、セリオは安定して動いていた。
セリオは、僕の状況を見て考えたスケジュール通りに黙々と家事をこなし、何も作業
が無い時はまるで本物の召使いのようにただ、僕のそばに控えめに立ち、指示を待つ。
それを見て、便利な世の中になったものだ、と今更になって感心してしまった。
僕がベッドに入るのに合わせ、セリオも自分で充電をする。
そして夜が明けると、定刻通りに起動してまた作業を始めるのだ。
セリオから僕に話し掛けてくる事はほとんど無かった。。
本当に僕の判断が必要とセリオ自身が判断した時意外には、セリオが自分で考え、何
事も処理していった。
例えば、新聞の折込広告。
男である僕にとってブティックや化粧品、または美容エステ等のチラシはゴミ以下だ。
セリオはそう考え、僕が必要としているチラシ、またはセリオ自身が必要とするもの
以外は捨てた。
そういう風に自分で判断できる事は自分で判断してくれるのは、ありがたかった。
それは僕にあんまり干渉しないという事なのだから。
僕はあまり、外に出歩く事は無かった。
引き篭もり。
その一言で片付けられてもしょうがないと自分でも思う。
とある事情で人間が嫌いになり、自分から人に接する事をやめた。
他人に干渉されるのが何よりも嫌いになり、学校にも行っていない。
そういえば先日、高校の退学処分通知が来たような気もする。
まあ、丸半年も無断欠席をすればそれもしょうがない。
ともかく僕は干渉される事が嫌いだったので、黙々と作業をこなすセリオはとても、
都合のいい物だった。
寂しくは無い。
自分で、そう思っていた。
0055タイトルなし 301/12/20 02:12ID:u3810Po1
夢を見ている。
またあの夢だ。
割れたガラスの欠片。
他人の驚愕したような表情。
焼けた油の匂い。
そして、血の匂い。
夢だと分かっていた。
でも、それでも僕は―――。
そこで目が覚めた。
いつもどおりの時間、いつもどおりの朝。
ただ、妙に汗をかいていた。
あの夢を見た時はいつもそうだ。今日は途中で夢が終わったからまだ良かった。
でも、シーツと寝間着がべっとりとしていて気持ち悪いのは変わりが無い。
一刻も早くシャワーを浴びたかったので、僕はそのまま風呂場へと向った。
ボイラーに火は入っていた。
セリオだろう。僕が毎朝シャワーを浴びるのを把握しているのだから。
今日ばかりはセリオに感謝しながら、風呂場へと飛び込んだ。
熱いシャワーを浴びて、汗を流す。
でも、本当に洗い流したいモノは心の奥底にこびり付いていて、流れる事は無い。
それが悔しくて、不意に涙が零れた。
泣き声が漏れないように、わざとシャワーの水量を上げた。
押し殺した嗚咽がシャワーの音にかき消された。
風呂場から出ると、そこには清潔なバスタオル、下着、今日の服が置かれていた。
セリオは僕が困らないようにいつもさりげなく、先回りをしておいてくれる。
それも、あまり干渉しないような形で。
今、僕は初めてそれに気付いた。
徐々にセリオに対する気持ちが変わってきている事に。
0056タイトルなし 501/12/20 02:18ID:u3810Po1
「セリオは寝ている時・・・夢を見る?」
僕がそう尋ねると、セリオは少し驚いたかのように目を見開いた。
表情が乏しいセリオにしては、珍しい事だ。
「ん、珍しいね。そんな表情をするなんて」
と僕が苦笑すると、セリオは控えめに、口を開いた。
「ご主人様が私に用事以外で話し掛けられる方がかえって珍しく思いますが」
その言葉にまた苦笑していると、セリオは少し、躊躇してから頷いた。
「少なくとも、私と同じモデルはスリープモード中にその日の出来事を記憶領域
内で整理しています。それを夢、と呼んでいい物かどうか判断しかねますが」
そこで一呼吸して、セリオがまた口を開く。
「ただ・・・、整理中にまれにですが、見たことも無い風景、実際に起きた事の
ない出来事が浮かぶこともあります。それに・・・」
「・・・それに?」
続きを促すと、セリオが戸惑いながら、言葉を続けた。
「―――忘れられない過去の思い出も」
頭に衝撃が突き抜けた。それだけ、心が激しく揺れていた。心臓が悲鳴をあげる
ように早く鼓動するのが分かる。何時の間にか、僕は拳を握り締めていた。
「・・・申し訳ございません」
と急にセリオが頭を下げた。
「どう・・した?」
努めて平静を装いながらそう尋ね返すと、セリオは恐縮したように呟く。
「・・・ご主人様のお気に障るような事を言ってしまったのではと思いました」
セリオが怯えてしまうほど、露骨に気持ちが表に現れてしまっていたらしい。
それが恥ずかしくなり、僕は取り繕うように思わず彼女の頭を撫でた。
びく、と一瞬だけセリオが震えた。殴られる、とでも思ったのだろうか。
だとしたら、今までの僕の態度が悪かったのだろう。それも、恥じた。
「セリオは悪くない。悪くないんだ」
と撫で続けるとセリオはうっとりしたような表情をした。
それを見て、僕は暖かい気持ちになったのを自覚した。
そして、もう彼女を機械だとは思えなくなってしまった事も。
0057タイトルなし 601/12/20 02:18ID:u3810Po1
夢を見ている。
またあの夢だ。
今日は姉さんの誕生日だ。
大好きな姉さんの。
姉さんとは言っても10歳も歳が離れているから、幼い頃に両親を亡くした僕にとっ
てはまさしく、親代わりといっても差し支えないだろう。
それだけに頼っていた。愛していた。
姉も、僕を可愛がってくれていた。
誕生日を祝って、今日は姉貴と外食することになっていて、予約したレストランに
車で向っている途中だった。
そのレストランが見える交差点に差し掛かった時、衝撃が走った。
気がついた時には身体の節々が痛かった。
割れたフロントガラスの欠片がまるで粉雪のように散らばっていた。
遠くから恐らく通行人だろうか、他人の叫び声が聞えた。
オイルの焦げたような匂いが、鼻についた。
そして、血の匂いも。
混濁する意識の中、胸のポケットを探った。
―――ああ、良かった。姉さんへのプレゼント、潰れてないや。
安心し、姉の無事を確認しようと、姉の方を見た。
でも、そこにあったのは、ただの、赤黒い血にまみれた潰れた肉塊だった。
「ぅぁあぁあああああああっっ!!!!」
たまらず、僕は絶叫した。
0058タイトルなし 701/12/20 02:19ID:u3810Po1
衝突相手は酒に酔い、さらに居眠り運転をしていた運送会社のトラックだった。
しかも皮肉な事に、あれほどの事故でありながら向こうは無傷だった。
慌しく親戚の手によって葬儀が行われた。
腫れ物に触るかのように納棺無しの葬儀が行われ、形ばかりの納骨が終わった後、僕
に残されたのは、運送会社から支払われた慰謝料と、姉の保険金だった。
それから数日間、僕は人間の汚さを垣間見た。
次から次へと見たことも無い、会った事も無い親戚と名乗る人が現れ、僕を引き取る
。と申し出てきたのだ。
子供心にああ、お金が目当てなんだな。そう気付いた。
誰が僕を引き取るかという事で姉の遺影を胸に抱き、呆然としている僕の前で・・・
汚い罵り合いが繰り広げられたのだから。
結局、お互いけん制しあいつつ、議論は物別れに終わった。
そして、僕は一人で暮らす事になった。
この頃から、僕は人間が嫌いになりつつあった。
再び、学校に通い始めると、それはさらに根深いものに変わった。
以前までは笑顔で笑いあっていた友人達も、急に僕を避けるようになった。
どう接して言いか分からないのだろう。そう納得した。
教師も、似たようなものだった。
学校は僕にとって、孤独な場所になってしまった。
それでも何とか高校に進学したものの、次第に行かなくなった。
0059タイトルなし 801/12/20 02:19ID:u3810Po1
いつも孤独だった。
寂しさに押しつぶされそうだった。
でも、他人に心を許す事など出来なかった。
人間の汚さを知ってしまったから、到底、無理だった。
どうしようもなかった。
死んだように、日々を過ごした。
でも、そのような日々の中で僕は人に干渉される事を渇望していたのだ。
寂しいのは、イヤだ。
孤独は、イヤだ!
誰か、僕にかまって!
僕を愛して!
・・・愛・・し・てよ・・・。

ふと、手に暖かいぬくもりが触れた。
その瞬間、涙が溢れた。
心の底から、安心した。
求めていたものは、すぐそばにあったのだ。
目を開くと、彼女がいた。
僕は彼女の胸に抱かれていた。
なぜ、と口を開き返ると、彼女は、セリオは否定するように首を振り、そして・・・
初めて、微笑んだ。
そして、優しく、僕の頭を撫でてくれた。
握られた手から、溢れんばかりの温もりが伝わってきた。
僕はそれに包まれて、感情が高ぶり、そして・・・子供のように、声をあげて、泣いた。
彼女は、ずっと、僕を抱きしめてくれた。
0060タイトルなし 901/12/20 02:20ID:u3810Po1
その日から僕の、彼女に対する感情は別のものに変わった。
彼女を機械ではなく、心を持った一人の女性として、意識するようになった。
彼女が買い物に行く時には努めて一緒に行くようにした。
彼女は、最初は戸惑っていたけど、「嬉しいです」と微笑んでくれた。
もともとHM-12、またHM-13シリーズは主人とのコミュニケーションを喜ぶ性質らしい。
それには開発期間中のテスト工程で、HMX-12とHMX-13が体験した出来事が関係している、
と彼女は言っていた。
そして、ついこの前まで僕が無関心な態度を取っていた時はとても寂しかった、とも。
どうやら彼女は寂しがり屋のようだ。
今までを取り戻すかのように、僕と彼女は今までと違う一緒の時間を過ごすようになった。
くだらない話をして、買い物にいくがてら、散歩をし、そして笑いあった。
毎日、彼女は僕の知らない彼女の表情を見せてくれた。
そして、その度に彼女をまた好きになっていく。
愛していく。
その気になれば、彼女はいろいろな表情が出来るのだった。
僕と同じように驚き、悲しみ、そして、笑う。
それが本来の彼女なのだと、知った。
毎日が楽しかった。
でも、次第に、暗いものが、胸に立ち込めていくのも、感じていた。
僕の中で彼女の存在が大きくなるにつれ、また、その暗いものも、肥大化していった。
全てが、癒されたわけではなかったのだ。
0061タイトルなし 1001/12/20 02:20ID:u3810Po1
二人で見詰め合う。
そんな時間が多くなった。
彼女はHMだ。
でも・・・そんな事はどうでも良かった。
人間も、HMも関係ない。
心が通じ合えばそれで、いい。
そう、心の底から思った。
そんな事を考えているといつしか、僕は彼女の唇を奪っていた。
そして、唇を離した瞬間、僕は彼女を突き飛ばしていた。
怯えた表情の彼女に対し、僕は買ったばかりの頃のように、彼女に『命令』をした。
「いいか、僕がいいというまで、そこから動くんじゃないぞ」
「ご主人様・・・どうされたの・・・ですか?」
いきなりの事に、戸惑いながら彼女が悲しげにそう尋ねる。
「答える義務は無い。お前は僕の命令に従ってればいいんだ」
こんな事は出来るならしたくはなかった。
でも、しょうがなかった。
胸の中に立ち込めていた、黒いものの正体が分かったのだ。
今、それに僕は支配されていた。
「分かったなっ!?」
強く、そう念を押す。
彼女は、怯えたように、頷いた。
それを確認すると、僕は家を飛び出した。
0062タイトルなし 1101/12/20 02:21ID:u3810Po1
雪が降りしきる街を彷徨うように歩いた。
行くあてなど無かった。
せめてコートぐらいは掴んで飛び出すべきだっただろうか。
真冬の寒風が身を刺した。
日付が変わってもまだ僕は彷徨っていた。
手も足も、指先がかじかんで既に感覚が無かった。
もしかしたら、凍死してしまうかもしれない。
そう思った。
でも、死への恐怖など無かった。
それよりも、胸の中で渦巻いている黒いものが大きかった。
その黒いもの・・・それは不安だ。
また、大事な人を無くしてしまうかもしれない。
そういう、底知れない不安。
セリオと幸せな日々を過ごしながら、僕はどんどん不安になっていった。
彼女を一つ、好きになる度、僕の不安が増えた。
もしかしたら、彼女が動かなくなってしまうかもしれない!
もしかしたら、彼女が僕のそばからいなくなってしまうかもしれない!
もしかしたら・・・彼女が僕を愛してくれなくなってしまうかもしれない!
そして、それが積み重なって、僕は・・・こう思ってしまった。
『無くなってしまうのなら、最初から無い方がいい』
と。
そして、そうする為には彼女を、彼女の心を傷つけ、彼女に嫌われてしまうのが
一番手っ取り早い。
そう、考えた。
好きにならなければ良かった。
愛さなければ良かった。
温もりを求めなければ良かった。
優しさを乞わなければ良かった。
そう。あの時、僕は知ったはずだった。
大事な人を失う痛みを。
0063タイトルなし 1201/12/20 02:23ID:u3810Po1
大きな公園のベンチに座って、僕は天を仰いでいた。
遥か上空から降り注ぐ雪を眺めていた。
雪が外灯に照らされ、光が反射し、幻想的な光景だった。
このまま、人生を終えてもいい。
そう思った。
心残りといえば、彼女を、セリオを傷つけてしまったという後悔の念。
自らへの怒り。
それだけだ。
自分の心を守る為、セリオの心を傷つけた。傷つけてしまった。
でも、傷つけても、楽になどなれるわけが無かった。
これは罰だ。
愚かな僕への罰だ。
もうセリオにも嫌われてしまっただろう。
今更戻っても、最初の頃のように、機械である事に徹していたセリオがいるだけだ。
なら、戻らないほうがいい。
そう決めた。
もう、彼女は僕を愛してくれないだろうから。
でも・・・。
「でも・・・なんで、ここにいるんだ・・・?」
僕は天から視線を地に落とした。
走り回ったのだろうか。足が汚れていた。
その際にどこかに落としたのだろうか。靴が片方無かった。
モーターを冷やす為の空冷機構、つまり息切れの音が激しかった。
「命令違反、違う?」
そう、彼女を問い詰めた。
外灯に照らされて、彼女は佇んでいた。
瞳から光り輝くものが零れているのを見て、僕は・・・後悔した。
セリオは・・・泣いていた。
0064タイトルなし 1301/12/20 02:23ID:u3810Po1
「・・・申し訳ありません」
「答えに・・・なってな・・・いよ」
うなだれる彼女に僕は突き放すようにそう言おうとした。
でも、言葉の途中から、それは消え入るように尻すぼみしてしまった。
「私は・・・欠陥品です。命令違反をしてしまいました」
流れる涙を拭おうともせず、セリオが呟いた。
僕はそれを否定する。
「ちがう」
「感情制御機構がおかしいです。やっぱり私は欠陥品です。命令を頂いていたのに、
気がついたら、私・・・ご主人様を探していて・・・駄目ですね」
伏せ目がちに、セリオがさらに呟いた。
「やはり、故障したのでしょうか」
「ちがう」
否定しても、セリオは納得しようとしなかった。
自傷ともいえる言葉を次々と泣きながら口にして、それは絶叫に近いものになりつつ
あった。
「だから先ほど、私を・・・うぁ・・・お嫌いになられたのでしょう」
「ちがうっ」
「ひ・・・もう、私は・・・ご主人様のお側にはいられないですっ」
「ちがうっ!」
「私ははもう廃棄されたほうが!ひぐっ・・・」
「何も言うなっ!!」
たまらず、抱きしめた。
きつく、しっかりと。
「ひぅ・・・うぁあああぁああああぁぁああ・・・」
咽び泣くセリオの頭を胸に抱いた。ただ、ひたすらに赦しを乞いながら。
「ごめん、ごめんな・・・ごめん・・・」
セリオの泣き声を聞きながら、僕が思い知った事は、
―――何処までも果てしない、人間の愚かさだ。
それをかみ締めながら、僕もいつしか、泣いていた。
0065タイトルなし 1401/12/20 02:24ID:u3810Po1
何時の間にか、雪は止んでいた。
二人で並んで、降り積もったその雪の上を歩いた。
「ほら」
何故か恥ずかしくて、思わずぶっきらぼうにセリオの頭に積もった雪を払ってやる。
「あ・・・」
頬を朱に染め、セリオが俯いた。
そして、何かを期待するように上目がちに僕を見上げる。
「・・・わかったよ」
恥ずかしいのを我慢しつつ、僕はセリオの頭を撫でる。
しかし、セリオは控えめにそれを否定するかのように首を振った。
「・・・え、じゃ、どうして欲しいの?」
セリオにそう尋ねると、セリオは瞳を閉じ、顎を上向きに傾けた。
「・・・わかった」
気持ちを込めて僕は唇を重ねた。
傷つけてしまった事への謝罪と、それを許してくれた事への感謝と・・・そして、
何よりも溢れそうなほどの愛を込めて。
いつまで一緒にいられるか分からない。
でも、それでもいい。
愛する人を失う痛みを忘れたわけじゃない。
でも、その痛みを恐れていては何も出来ない。誰も愛せない。
それに気付いた。気付かせてくれた。
セリオが、僕に教えてくれた。
それは、とても大事な事。
唇を離すと、お互いともなく、照れたように笑った。
雪を降らせていた雲が晴れ、月明かりが僕たちを照らした。

―――了。
0066SS職人@見習 ◆SSLuvQ3. 01/12/20 02:27ID:u3810Po1
>>52-65
以上です。
思いを文章にしていたら止まらなくなってしまい、肥大化してしまいました(ぉ
それでは失礼します。
0067HMX-13 serio  ◆CEriOo46 01/12/20 02:42ID:j0mpFHq9
>66
.....ありがとう...ございます。(礼)
0068なにがしだよもん ◆ie2wgyeo 01/12/20 03:16ID:NSwvmm0r
>>52-65

「この作品を読んだとき、何を感じた?」
「僕は素敵だと思った。もっと長いお話にしても良かったんじゃないかな。それだけのポテンシャルはあると感じた。
連載で、もっともっと二人の生活を眺めていたいなって」
「一部、リアルなところがあるな。事故のところとか。これはどうだ?」
「意見は分かれるだろうけど、僕は、その生々しいところが好きだよ。それを読んだだめに、主人公の一挙一動を
気にするようになったから。どう克服するんだろう、と。それから、セリオはどうやって彼を癒すんだろう、と」

「話の内容だが」
「この物語の場合、彼女はストレートに救い主へと変化していくんだよね」
「だがそれがいい」
「うん。機械の範疇を離れて、人間の領域へと飛び込んでくるセリオの方が、僕は好きだ。命令に逆らって
主人公を探しに来るあたりとか、すごく気に入った。僕は、漫画でこういうシーンがあると、お約束だろうと
なんだろうと、そこを何度も読み返すタイプだから」

「気になった場所は?」
「セリオを突き放す部分かな。トラウマがあるにしても唐突だったから」
「君ならどうする?」
「姉の最期のシーンをフラッシュバックで入れる…かなぁ。あまり血なまぐさいのはイヤだけど、ここには衝撃を
産むシーンが入るべきだと思った」

なんかよくワカラン感想ですが、こんなところで(^_^;
続編も期待しております。
0069お花屋さんだよもん01/12/20 04:01ID:tmvepw3g
力作ですね。ひさびさに良い物を読ませて頂きました。感謝!
0070 ◆SERIOiM. 01/12/20 04:13ID:bD9rZWN2
>>52-65
いいものを読ませていただきました。
宜しければセリオスレで(もちろんこちらでも構いませんが)またSSを書いていただけると嬉しいです。
0071名無しさんだよもん01/12/20 21:16ID:Rl4cWj45
>>52-65
素直に良かったです。
「見習」ということは、SSを書き始めてまだ間も無いのでしょうか?
初心者特有の「熱」のこもった文章が印象的でした。
長くSSを書いていると、どうしても作業的になってくる部分がでてくるのですが、
始めての時の感覚を忘れずにこれからも頑張って下さい。

それと、SSにとって本質的な事ではないのですが、一応書く上でのお約束というものがあります。
http://leaf.aquaplus.co.jp/kaihatsu/kai007.html
↑の書いてある事が、その一応のお約束です。
SSだけでなく、他の文章でも使える事なので憶えておいて損はないでしょう。
0072天神海士 神奈支援01/12/20 21:59ID:1RQIPeoO
永遠の終り、そして始まり 1ページ


我が子よ、よくお聞きなさい・・・・・・・・・

これから話す事はとても大切な事


永きに渡り、語りづかれてきた思いなのです。



物語は終幕をむかえつつあった・・・・観鈴は最後まで頑張る
その最後の最後でのやるべき事がまだ残っていた・・・・・

観鈴は空へと翔けていく、胸の中にその一生分の思い出を携えて
背には純白の翼を携え、その翼は風を孕み、大空へと舞い上がる

(もう1人の私につたえなくっちゃ、楽しかったこの夏休みの事を)
(そして終わらせるの・・・・・私で・・・・・・最後にするのだから)
0073天神海士 神奈支援01/12/20 21:59ID:1RQIPeoO
永遠の終り、そして始まり 2ページ


もう1人の少女は遥か大空の彼方にあった、そのまわりには一面の空
広大な空間の中に、ただ1人漂う
下界との距離は、少女が人々との交わりを拒絶しているようかであった。

観鈴はついにそこへとたどり着いていた。
初めてみた人なのに不思議と既視感(デジャブ)を感じる。
直感的にもう1人の自分であることを認識していた


「はじめましてわたしは観鈴、もう1人のあなたです・・・・・
・・・・・・・・・・わたしあなたに会いにきました」


もう1人のわたし・・・・それは1000年ほど前に存在していた人に非ず者
伝説が伝える所では、翼をもつ存在、呪われし存在、星を記憶を司る存在等
様々な言葉でそのものを記す。

その記すところの一番最後の翼人の名は、神奈乃命
・・・・・・それは、観鈴の問いかけに対し反応を示す。
0074天神海士 神奈支援01/12/20 22:08ID:1RQIPeoO
永遠の終り、そして始まり 3ページ

「・・・・・・もう1人のわたし?・・・・・余の転じて生まれ変わり者の事か・・・」

「悪い事はいわぬ、そちがなにを目的としてきたのかは知るところでないが、
余に関わらぬのが懸命じゃ・・・・・・余を独りにしておいてくれ」


観鈴にはその言葉の真意が理解できていた・・・・・かつての自分と全く同じであったからだ今度は自分が(私)を励ます番だ・・・・・そう観鈴は考える

「にははは・・・・でも独りはさびしいよ・・・・・2人だと楽しい・・・
観鈴ちんと一緒にがおおおおっと楽しい話をするの・・・ね・・」

「なにもいうな!・・・・・・・・聞きとうない・・・・・・」
「お主・・・・余の行った事をしっておるのか?、
おぬしをつらい目に合わせてきたのは、全て余のせいなのじゃぞ」

「余の夢は、生まれ変わりし娘子を蝕んでいく・・・・余はそれを止める事も
かなわず、ただ観ることしかできずにいて・・・・・」
「また遙な昔、余を護ってくれたものにも、同じ仕打ちをしてもうた・・・・・」
0075天神海士 神奈支援01/12/20 22:08ID:1RQIPeoO
「余は幾度も涙を流した、その涙は尽きる事がなく・・・記憶には悲しみ積もっていくばかり・・・・心は凍りのように凍てつくばかりじゃ・・・・
我が心と身体はこんなにも病み疲れてしもうた・・・・・・・」

「われに近づくものは、皆その病に蝕まれる。だから余はその病が
及ばないところへ、独りでひっそりと・・・・だれにも関わらずにいようと
決めたのじゃ・・・・・・」

「だから近寄らんでくれ・・・・・もう放っておいてくれ・・・・・・後生じゃ・・・・」

http://uri.sakura.ne.jp/~denpa/img-box/img20011220220242.jpg
0076天神海士 神奈支援01/12/20 22:10ID:1RQIPeoO
永遠の終り、そして始まり 4ページ


「ちがうよ!、もうそれは終わったの!」

「なにが終わったのじゃ?なにも終わらん!なにも変わらん!
なにが変わったのかわからない!どうすればいいのかわからない
どうしようもない・・・・・」

観鈴は悲しかった、その悲しみはわかりすぎるぐらいに・・・・
どうすればいいのだろう・・・・・
どうしたらわかってもらえるのだろう・・・・・・・とにかく励ます・・・
それしかできなかった・・・・・

「・・・頑張るの・・・頑張ればきっと楽しくなるから・・・・だから頑張ろう!」
0077天神海士 神奈支援01/12/20 22:11ID:1RQIPeoO
「・・・そなたはどうしてそんなにも頑張れるのじゃ・・・・・余とは大違いだ・・・」

「・・・悲しみに耐え切れずに天に逃げた余とはな・・・・・」

「違うよ・・・わたしだって強くない!・・・・・・もうなにもかも嫌になって・・・・
眠りたい・・・・・楽になりたいと思ったときもあった。
だけど往人さんが・・・・お母さんがいてくれたから・・・・・
だからわたし頑張れた!、あなたにもいるから・・・だからあきらめちゃ駄目!」

「余にはもうだれも・・おらんのじゃ・・・・母上、裏葉・・・・・柳也・・・
みんなおらぬ・・・みんな余が・・・・・」


(ちがう・・・・)


・・・・・・・どこからか声がした

(ちがうよ!・・・・それはちがうんだよ!!)


その声は徐々にはっきりしてきたかと思うと、1羽の鳥が近づいてくる
まだ飛ぶ事に慣れたばかりの頃の様な頼りなさげに・・・・・
0078天神海士 神奈支援01/12/20 22:12ID:1RQIPeoO
永遠の終り、そして始まり 5ページ


「そら!とべたのね、すごい!・・・・すごい!」
(うん!みすずにあいたくて、がんばった、そしたら身体が自然に・・・)

「そらの言葉なの?・・・・そらがしゃべっているの?」

(言葉は難しくてわからない・・・・でも不思議とわかる・・・・・・・・
みすずと意識がつながっているのかもしれない・・・・・・)

(それよりも・・・・いまは・・・・・)

そらは神奈のほうに身体を向きなおしていた
(さっきの君の話だけど、君には誰もついていないなんて・・・・・・・
ちがうんだよ!・・・ぼくにはわかるんだ!)
(きみには、現在でも・・・・見守っている人がいる・・・・・・・
一千年もの間、きみの事をかんがえて・・・・ぼくだってみすずだって・・・・)
0079天神海士 神奈支援01/12/20 22:13ID:1RQIPeoO
「お前は何者なのじゃ?」
(ぼくは、あなたに会うために・・・救うために!
はるか昔よりの思いを受け継いできた最後の思い)


(みすずと共にあなたを永遠の檻より開放する)

そらは片方の翼を広げそして振り下ろす、何枚かの羽が翼よりはがれ、
光彩を放っていった


光がおさまったかとおもうと、後には人形が残されていた。

(この人形には、みんなからあなたへの思いがこめられてるんだ
・・・・・・一千年もの思い)

(そしてみすずの一生分の思い出・・・・・・これで君を救う事ができる・・・・)


(覗いてごらん・・・・・そして見つけるんだ!自分の環るところを)
0080天神海士 神奈支援01/12/20 22:14ID:1RQIPeoO
永遠の終り、そして始まり 6ページ


神奈はたくさんの思い出に包まれていた

悲しい事もあった・・・・・・・・・・・・・・
必死で自分を探しもとめ、そして懸命に自分を直そうとしてきた人々の思い
一千年の間受け継がれ、果たせることなく終わっていった無念、次への希望

楽しい事もあった・・・・・・・・・・・・・・
母と子の人形劇、山道のかけっこ、楽しかった夏祭、
はじめて母と一緒にいった海
母からの贈り物・・・・・・・・・それはみんな素敵な、暖かな思い出
0081天神海士 神奈支援01/12/20 22:15ID:1RQIPeoO
神奈はその一つ一つに触れていく

(すごく気持ちが軽くなって、なんかふわふわしている、
温かい、なつかしいにおい、まるで母の胸のなかに・・・・
・・これが母のぬくもりというものなのかな・・・・・・・)

(人との交わりとは、こんなに温かいものであったか・・・・・・・
すっかり忘れていた・・・・・・・・)

思い出は彼女の凍てついた心をとかしていく、その思い出の奥深くに
懐かしく、そして会いたいと願っていた者が・・・・・・
http://uri.sakura.ne.jp/~denpa/img-box/img20011220220330.jpg
0082天神海士 神奈支援01/12/20 22:16ID:1RQIPeoO
永遠の終り、そして始まり 7ページ


「裏葉、柳也・・・・母上!」
「神奈さま!お久しぶりでございます。」


「余は・・・余はあいたかったぞ・・・さみしかったぞ」

「申し訳ございません・・・私たちはさがしていました・・・・いままでもずっと
神奈様のことずっとさがしていたのです・・・・・・・」
「人形に願いをたくして、その子孫達と共に・・・・・・」


「神奈、本当にすまなかった・・・こんなにも長い間お前を護る事ができずに・・・」
「俺は本当に益体無しだ・・・・・・・・」
「だけど・・・お前は本当に自分勝手だ・・・・・・俺達の気持ちを知らずに」

「余は自分勝手じゃったのか・・・・・・」
0083天神海士 神奈支援01/12/20 22:16ID:1RQIPeoO
「ああなんで、お前はこんなにも意地っ張りなんだ!、
こんな空高くただ1人きりで・・・・・」
「なんで1人でかかえこむ!・・・・俺も一緒にお前と共に、・・・・お前を苦しめるものから護りたい」
「もう離しはしない・・・・決して・・・・お前の苦しみを共に・・・・」

「・・・・・・共に分かち合いたい?」
「苦しみをもか?それでいいのか?・・・・・」

「わたしたちは家族でございますよ!神奈様、我が子が苦しんでいるときには親はその痛みを
分かち合いたいものなのです」


「家族・・・・そうじゃな家族がいたのじゃな・・・・ぐすっ・・・ふふ・・余は甘えて
ばかりになってしまうな・・・・・」

「大変うれしゅうございますわ・・・・・・」
「さあ一緒に泣いて苦しんで、そして・・・・・・その後は、一緒に笑いましょう
0084天神海士 神奈支援01/12/20 22:25ID:7ul310p8
永遠の終り、そして始まり 8ページ


(我が子、神奈よ・・・・・・・・)
(皆・・・そなたの帰りをまっているのです・・・・・・)
(いつも・・・あなたのことを・・・母の大地より思っていました、
遠くにはなれていった我が子をおもっていました・・・・・・)

(わたしも・・・・大地の皆もお前の事をまっています、・・・・・さあ帰ってきて)


神奈・・・・・戻ってきて・・・・・・・・・・
0085天神海士 神奈支援01/12/20 22:26ID:7ul310p8
「うっううう、くうう・・・・ぐすっ・・うえええええええええん・・・」

「余は本当に意地っ張りじゃった・・・・なんで気がつかなんだ!
こんなにこんなに、みんなに心配かけて」

「気づけばよかったんじゃな・・・・・1人でないということに・・・・・・
自分が幸せだったてことに・・・・・・」


「おおうつけじゃ・・・ほんとうに・・・・ぐす・・・すん」

http://uri.sakura.ne.jp/~denpa/img-box/img20011220220458.jpg
0086天神海士 神奈支援01/12/20 22:26ID:7ul310p8
永遠の終り、そして始まり 9ページ


「余はちっとも悲しい事なんてなかったんだな・・・・・すごく幸せだったのだな」

「こんなに温かな居場所が・・・・・帰れる場所が・・・あったんじゃな」


「ありがとう・・・・・・・・・」


「そして・・・・・ただいま!・・・・・・」


「おかえりなさい!神奈」
0087天神海士 神奈支援01/12/20 22:27ID:7ul310p8

「裏葉ぁぁぁーーーーー柳也ぁぁぁぁーーーーー
ははうえ−−−−−−−−−−−−−−−」

「神奈ぁぁぁぁ−−−−神奈さまぁぁーーーーー」



・・・ふふふ一千年ぶりですわ・・・・・・こうしてまた一緒によりそって


・・・・こうしているとおれたち・・・・・


・・・・そうです


・・・・家族そのものでございますわ

http://uri.sakura.ne.jp/~denpa/img-box/img20011220220412.jpg
0088天神海士 神奈支援01/12/20 22:28ID:7ul310p8
永遠の終り、そして始まり 10ページ


(おわったな・・・・・・・・これで・・・・・・・)

「往人さん?往人なの?・・・・・そらの姿が!・・・・・・・往人さんに」

(おれの姿が・・・・・・人間?・・・・・手も・・・足も・・・ある
戻れたのか?・・・・)

「往人さん・・・・・往人さぁぁぁぁぁぁん!」

「がっがお・・・うえっうえええええ−−−−−ん」

ぽかっ

「・・・いたい・・・・往人さんいたい・・・・なんでそんなことするかなあ?」
「おまえが、がおっていうからだ・・・・あいからわずだな観鈴は・・・・」
0089天神海士 神奈支援01/12/20 22:29ID:7ul310p8
「でも夢じゃないんだね・・・・・・ぐすっぐす・・・がおっがおおおお」
「そうだな・・・・自分の存在を疑うのも変だが」

「さあ泣き止んでくれ・・・人形劇をみせてやるから・・・・・・・」
「無理だよ往人さん・・・だってうれしいから・・・・勝手に・・・・嬉しすぎるから」
「にははっ・・・・・ぐすっうええええ・・・・・・・」


2人はお互いに体を寄せ合う、自然と視線が交差を重なり・・・
その距離をちかづけていき・・・・・・重なる
互いの深く深くつながっている・・そんな二人に言葉は必要としなかった


観鈴・・・・・・・・
往人さん・・・・・・・・・



そろそろ俺達も帰るか・・・・・・
うん


還ろう 星の大地へ
0090天神海士 神奈支援01/12/20 22:30ID:7ul310p8
永遠の終り、そして始まり 11ページ


我が子よ・・・・・還るときがきました・・・・・

海から雨粒のもとが、空へとあがり雲となり
雨粒が地上に落ち、その重なりが川となり
また再び海へともどっていく


すべてはものは互いに・・・・つながっているのです


元々1つなのですから・・・わたしたちは・・・・・・



こうして、星の記憶を司るものは、また故郷へと還っていきます


永遠の終り・・・・・・・・
0091天神海士 神奈支援01/12/20 22:30ID:7ul310p8
同時に永遠の始まり


それは新たな物語のはじまり


海岸を歩く少年と少女の2人・・・・・新しい物語は2人と共に歩き始める


その歩みはどこへと続いていくのでしょう・・・・・・・・・・・・・・


時のながれはその歩みを止める事を知らずに・・・・・・・・・・


永遠へとつづいていく・・・・・・・・


END
0092天神海士 神奈支援01/12/20 22:31ID:7ul310p8
はじめまして!、HN天神海士です

助手の高槻だあああああああぁぁぁぁぁ

このへたれがああああああ、こんなちんけなSSかきやがっってえええ
小学生並みの文章だああああああああ、いいのかああああああ
こんな文章でええええ、簡単にこんな文章書いていいいのかああああ
大切な支援じゃあないのかあああああああああ

うるせええ!しばらくねむれええええええええ!

ばこっ
(くぎバットで後頭部をフルスイング)

きゅうううううう・・・・・ばたんっ・・・

ふしゅうう・・・・あんまり長文にしたくないのに、
語尾をのばしおってからにいい、では気を取り直してと・・・・
0093天神海士 神奈支援01/12/20 22:32ID:7ul310p8
神奈支援を目的として書いたつもりのSSでしたが
萌えていただけましたでしょうか?・・・・・多分無理かなあ
自分でもわかっているのです・・・・・・弱点は・・・・
シナリオを意識する余りに萌えのシチュが足りず、
キャラの魅力が引き出せていないことに・・・・・・・・

神奈の事を書こうとすると設定を意識してしまい、
どうしてもシナリオメインに走ってしまうんですよねえ
SFマニアにとっては格好の材料なだけに、避けようがなかった・・・・

本当はもっとオリジナリティの風味を出してみたかったです
星の記憶を司るものの正体・・・・・
人と翼人の関係・・・・
高野山僧侶の呪い・・・etc
等を絡めた、壮大なSFを書きたいとおもっていたのですが
・・・・・・これ以上萌えから遠くなるとまずいのでやめました。
0094天神海士 神奈支援01/12/20 22:32ID:7ul310p8
この物語はガイア理論を強く押し出した形となっています。
簡単に一言で説明すると、「地球は1つの生き物である」
ということなのですが

この物語は「すべての魂は元々1つのものである」を
テーマにしているつもりで書きました。
もっとそこらへんのつながりに関するドラマを強く
出したかったのですが
文章をまとめるだけで精一杯でした。
そこらへんは、また機会があれば書いてみたいなと思っています
0095天神海士 神奈支援01/12/20 22:33ID:7ul310p8
高槻いいいいいふっかあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁつ!

もうみちゃいられええねえええ
なにがああ得意なああ顔してえええ、テーマじゃああぼけえええ
ぶちきれええたああああああああああああああ
きょううびいい、SFなんてええ流行らんんんのじゃああぼけええ

SS通のおれからあああいわしてもらえれええばあああ
言葉ぜめえに中だああしいいいいいいいいいいいいい
これじゃああああ−−−−−−−−−−−−−−−−−

じぶんの好きな萌キャラがああ、俺のような下衆野朗にいいい
散々言葉ぜめえされた上にいいい、中出しされてええいくううう、
いいいのかああ、大切な萌キャラじゃあないのかあああああ
おれみたいな下衆やろうなんかにいいい、汚されてえええええ
これでいいいのかああ、
0096天神海士 神奈支援01/12/20 22:33ID:7ul310p8
その異常なシュチェーションにいいいい、興奮度はかぎりなくううう
高まりいいいい
ネタとおしても、これええ最強うううううううう

だが、下手にテンションをあげすぎたためにいいい、
俺がめだってしまいしぃぃぃぃ
高槻萌と勘違いしてしまいそうなあああ、諸刃のけええええんん

まあおめえみたいなああ素人はああああ、
せいぜい益体なしいいいのシナリオでもかいてくださいってこったああ

天神 (しくしく・・・・・・)

次回はあああああああ、美凪とおおおおみちるううううのおおおお
Wコンボできめえええええええええ(嘘です藁)
0097SS職人@見習 ◆SSLuvQ3. 01/12/20 22:41ID:UvKTTCCb
>>67-71
ご感想、またご指導ありがとうございます。

>>68
今、読み返してみるとご指摘いただいた部分、確かに酷いですね(鬱
もう少々落ち着いて書けば良かったです。
手直しを入れてトレーニングルームに上げてみようかな、と思ったり
してます(ぉ。

>>70
申し訳ありません。今、やっとご感想を拝見させていただいたところ
でして・・・。
後30分ではどうしようもありません(汗。2回戦(もし勝ち上がった
のなら)にまた書かさせていただきますので、その際にはよろしくお願
いたします。

>>71
時期的には本当につい最近、ですね。
それまでさほど文章など書いた事はなかったです。
なんにせよ、これからも修行あるのみ。
ご紹介していただいたページは今後、参考にさせていただきます。
ありがとうございました(^^)。
0098天神海士01/12/20 22:56ID:7ul310p8
72から91のSSですが
85と87の絵が逆になっています
スケジュール的にきつく、絵がめちゃくちゃで恥ずかしいっす
(文章もお粗末なものだが)
もっと精進しなければ!
0099名無しさんだよもん01/12/20 23:05ID:X3SBu5bn
>>98
SSはともかく、その後の馬鹿発言で全部ぶちこわし。
0100名無しさんだよもん01/12/21 05:10ID:PYg4/N7Z
鍵キャラは口癖を持っている。
その一言だけでキャラがわかるというとても便利な台詞だ。

でも、便利だからといって、多用されると非常に萎える。
連発するのではなく、決め打ちすべし。
0101竹紫01/12/21 20:09ID:JklTvwDt
     ∧_∧  
    < `∀´>   >>71
     (    )     うむ、私のアドバイスを参考にすれば
     |  |  |       すぐにでも立派な職人になれるだろう
     (__.)_)        書き方講座の紹介、感謝する
0102名無しさんだよもん01/12/21 21:05ID:J/A2UfqP
>100
禿同。ここぞってタイミングで使ってくれないとねぇ。
010310001/12/22 00:37ID:Eh0IfuU4
具体的にいうと、10ページの「がお」ってのはいらん。全部。
どれもとってつけたようで萎え。

観鈴が、一体どんな時に「が、がお…」っていうのか、
自分なりに整理して欲しい。つけりゃいいってもんじゃないのよ。

それじゃ、がんばれ。
0104おおさか@つちへん01/12/22 19:18ID:Fksad8E2
ええと、今晩(恐らく23日0時以降)に太田さん支援のSSを上げさせていただきたいんですが
よろしいでしょうか?
内容は全年齢対象で、毒にも薬にもならないものです。
長さはそこそこで。ある意味某いいんちょの焼き直しかも(笑
特に反対意見がなければ貼り付けますので、よろしくです。
0105なにがしだよもん ◆ie2wgyeo 01/12/22 19:35ID:YAl3CFdp
>>104
よろしくお願いします。

とゆーか、このスレ、雑談系の発言が出来ないもんで、
ほっとくとdatに落ちちゃうんです(;´_`;)
0106太田さんSSその101/12/23 00:01ID:7i13xIZd
 そこにはきっと、素晴らしい景観があるに違いなかった。
 なぜって今はもうすっかり闇に閉ざされているけれど、昼間は皆が集まって
やいのやいの騒いでいたのを憶えているから。
 その時はあんなに良い天気だったというのに、今は一面の雲で月明かりさえ
無い。加えて周囲が煌々としているから、かえってそこの暗さが際だって
いるような気がする。
 後ろ手に扉を閉めて、彼女はゆっくりと歩き出す。
 実のところ彼女は少々近視気味である。さすがに親友の藍原瑞穂ほどではないが、
手探りで椅子の位置を探り出すために、昼間の記憶さえ引っ張り出してくるほどには
近眼なのだ。
……そういえば、あの人がコンタクトを薦めていたっけ。
 そんなことを考えながらようやく椅子を探り当てて、太田香奈子はゆっくりと
腰を下ろした。
0107太田さんSSその201/12/23 00:02ID:7i13xIZd
 屋上に吹く風はほとんど無く、奇妙なほどに静かな夜である。
 本来なら立ち入り禁止のこの時間に、起き出してここにいるのは彼女だけ。
ひょっとしたらと思ってここへやってきたが、実のところは何でもない。
理由は眠れなかった、の一言。
 これまでのこと、それからこれからのこと。色々考えていたら目が冴えてしまったのだ。
それに、あの人のことも考えていたし……。
 それで少し上気して、香奈子は慌てて頬をぺちぺち時間差で叩いた。
 本当は、そんなことを考えている場合ではないのだ。
 そう。彼女には見据えなくてはならないことがあって、それはあの人もそうで。
けれど、それは彼女にはあまりにも大きすぎて。場違いじゃないかと思えるくらいで。
それでも知ってしまったからには逃げ出すことも出来ず、それはあの人もそうだからで。
 などと。
 彼女はぼんやりと、堂々巡りの思考を続けていた。
0108太田さんSSその301/12/23 00:03ID:7i13xIZd
 ふいに扉が低く唸ったので、彼女は驚いて思考を中断した。何故ってこんな時間に
ここへやってくる物好きが他にもいるとは思わなかったから。
「おや」
 えらくのんびりとした声がした。優しげで、けれど張りのある声。
 驚くと同時に、納得もする。他にそういう人が思い浮かばなかったから。いいや、
本当はもう一人いることはいるが、あえて考えなかったから。
 ああいうちょっと細めでも夜目は利くものらしい。というかそんな失礼なことを
考えているのは、そうでもしないと沸き上がってしまいそうな動悸を押さえ込むためで。
ええと。
「太田さんか」
 確認の声は少し安堵の響きがあった。ちょっとだけ嬉しい。
「はい」
「驚いたな。こんな時間に」
 それはお互い様なわけで。
「隣、いいかな?」
「どうぞ」
 少し横へずれると、椅子の感触がひんやりとしていた。さすがにこんな
夏場でも、夜は冷えるものらしい。特にここは海が近いから。
 隣に座る気配。
「そんな格好のままじゃ、冷えるんじゃないかな?」
 驚いたような声がする。
0109太田さんSSその401/12/23 00:04ID:7i13xIZd
 ああそうか。そういえば、湯上がりのまままっすぐここへ来てそのままだった。
ひょっとしたら湯冷めするかもしれないな、などと考えていたら、ふわっと上着が
掛けられた。よく見ると丹前だ。しかもまだ少し暖かい。
「ここは潮風があるからね」
「あ、ありがとうございます」
 その優しさが帰って心苦しいのは、やはりあのことが引っかかっているからだろう。
 自分に優しくしてくれるそれは、代償行為というものではないのかと。
 遠く、水平線の彼方に煌々と輝くのは、確か漁り火といったか……。
「──君も、眠れなかったのかい?」
「…はい」
「そうだろうね」
 話を振ってきたのは彼の方だった。
「僕もだよ。色々と考えたかったからね。で、考えてたら眠れなくなった」
「それで、涼みにこられたんですか?」
 そうかしれない、という生真面目な返事をあっさり聞き流す。
 何だかそうだけではないように思われた。そうだとは、思いたくなかった。
 決戦前夜で頭がもやもやしているせいかもしれなかったが、それだけのせいに
したくもなかった。
「ひょっとしたら彼女がいるかもしれないと思って?」
 だから、爆弾を投げつける。
0110太田さんSSその501/12/23 00:04ID:7i13xIZd
「彼女?」
 珍しく目が少し開いて怪訝な顔つきになって、それが苦笑で崩れた。
「ああ。瑠璃子のことか。妙な言い回しだから、わからなかったよ」
 そう言って彼は、月島拓也は笑った。
「確かに瑠璃子は屋上が好きだったね。でも、そのことは考えなかったよ」
「どうしてですか?」
「そりゃあ、長瀬君がいるからさ」
 夜目にも、そして近視気味の目にも彼の顔は笑っているように見えた。
 でも、それは本当に笑っているのだろうか。
「君は、世界を壊したいと思ったことはあるかい?」
「は?」
「世界を壊したいと思ったことはないかい?」
「せかい、ですか」
「そう」
 いきなりの話題の飛躍だ。
「この世界そのものを、あるいはこの世界に生きとし生けるすべてのものを。
壊し、潰し、消し去り、ついには何も存在しない無に変える、そんな妄想さ」
「妄想、ですか」
「そう。妄想」
 彼はそこでひとつ頷いた。
「かつて僕はそのような世界を望んだ。そんな世界を夢想し、そのようにして
しまえる世界を望んだ」
「……」
0111太田さんSSその601/12/23 00:05ID:7i13xIZd
「来栖川さん……。ああ、お姉さんの方だね。彼女も同じことを考えたことが
あるんじゃないかな。僕はそう思う。彼女が今回の騒動で鍵になっているのは
間違いない。それはどうしてかな?
…そう。誤って異世界の魔王を召還してしまったためだ。それは過失ということに
なっているけれども、本当のところはどうなんだろう。
ひょっとしたら、彼女も持っていたんじゃないだろうか。かつての僕と同じ感情を」
 音がした。重々しい、腐食した金属が少しづつ摩滅してゆくような音だ。
 香奈子は思わず震えた。なぜならば、実際に屋上のドアが開いたわけではないの
だから。それなのに、何故とびらの方を向いてしまったのだろう。
「それは、どのような感情ですか」
 するりと出た問いに、彼は微笑んだ。優しい微笑みだった。
 しかし続く言葉はとても優しいものとは言いがたいものだった。
「つまり、破壊願望だよ。この世界を叩き壊してしまいたい、という強い想いだね。
彼女はきっと望んでいたんだ。心の奥底深くでね。以前の僕のように」
 にこにことした風情さえありながら、並べられる言葉は毒々しい。
「僕はそう思ってた。だってそうじゃないか。この世界は不条理に充ち満ちている。
不安定で、そのくせ傲慢で、僕なんかの力じゃどうしようもない。それなのに、
この世界は僕を──僕と瑠璃子を壊そうとして圧力を掛けてくる。襲いかかって
くる。ささやかな幸せさえつなぎ止めていられなくなるような、そんな理不尽さで
もってだ。そんな世界に蹂躙される必要があるかい? いや、それ以前にそんな世界が
必要あるかな?
だから僕はそんな世界はいらない。壊れてしまえばいいんだ。何もかも、叩き壊せば
いいんだ」
 また、きしんだ音がした。それは、どこからなのだろう?
0112太田さんSSその701/12/23 00:06ID:7i13xIZd
「でも」
 彼女は顔を上げた。夜景が少しぼやけている。ぼやけだしている。
「どうして今頃そんなことを話されるんですか? 月島先輩は、それでも世界を望んだんじゃ
ないんですか!?」
「そうだよ」
「!?」
 静かに、膝の上でほおづえを突いて、彼は続ける。
「でもね、今、世界は壊れかけている。少なくとも、僕たちはこの隆山でこの世ならざる
ものたちと出会い、戦っている。……そして、世界の崩壊は目の前に迫っている」
 平静な口調だ。明日にでも異次元の大魔王が覚醒しようかというのに、その声は
どこまでも冷えていた。まるで、明日の朝食の献立でも話すかのようだ。
「一度は望んだ世界の終末が目の前にあるんだ。そしてそれは不可能な事じゃない」
 きしみが、更に大きくなったような気がした。
 いけない。このままじゃ、いけない。
「でも、あなたには月島さんが、瑠璃子さんが……いるじゃないですか」
 小憎たらしくもまだ理性は平静を保っていられたようで、「いた」とは言わなかった。
その制動が今はかなり恨めしい。
「あなたの望む世界も、あなたの望む世界の破滅も、全てはあなたと瑠璃子さんのためじゃ
なかったんですか!?」
 ばかだ。バカだ。なぜ、こんなことを言っているんだろう。なぜ、こんな意味の
無いことを並べているんだろう。そもそも意味とは何なんだろう。
0113太田さんSSその801/12/23 00:07ID:7i13xIZd
「さっきも言ったかもしれないけど」
 困ったように、彼は差し挟む。
「長瀬君がいたからね。そしてそれは今も変わらないよ。長瀬君がいる。瑠璃子は、
それで大丈夫さ」
「じゃあ、じゃあ……どうしてそんな」
 胸が熱い。流れ回る血液は、どうやら身体の方が優先されているらしくて、脳には
ちっとも供給されていないようだ。思考が追いつかない。
「だから、それを望んだのは過去の僕だ。あるいは別の僕だったのかもしれない。
でも、僕は僕だ。月島拓也という、一介の小市民だよ。まあ、明日はちょっと荷の重い
大仕事が控えているけどね」
 そう言って笑った。でもちょっと笑えなかった。この人は、前から冗談は上手くなかった。
「ひょっと、して……」
 途切れ途切れの問いに、彼はもう一度笑った。
「死ぬことは考えてないよ。耕一さんは強い。それに、長瀬君や藤田君もいる。まあ、
僕は長瀬君と後ろで支援するのが関の山だろうけどね」
 そこで肩を引っ張り寄せられた。心臓が跳ね上がりそうになった。なぜって、そんな
行動は予想だにしなかったから。
「これを受け取って欲しい」
 ぽとりと、掌の中に何かが落ちた。小さくて、軽いものだ。何か丸い。
 目に近づけて子細に眺める。輪っかのようだ。プラスチックで出来た、小さな輪っか。
表面は金属か何かだったらしいが、ところどころ剥げてプラスチックの地が出ている。
「――これは?」
0114太田さんSSその901/12/23 00:09ID:7i13xIZd
「今日、公園で拾ったんだ」
 ちょっとだけ、すまなさそうな声。
「どこかの子供の忘れ物だろうね。思わず失敬してきてしまったけど……」
 そう言われればずいぶんと野ざらしにされていたように思える。別に、窃盗ということには
ならないのではないだろうか。
「でも、どうしてこれを?」
「持っていて欲しいからさ」
「私に……」
「これは絆だよ。この世界と、僕を繋ぎ止めておく環なんだ。そうでもしないと、僕は
帰って来れなくなるかもしれない。だから、その環を君に持っていてほしい」
「私で……いいんですか?」
 彼は頷いた。
「昔、僕は世界を拒んだ。憎んだ。壊したいと願った。それはこの世界があまりにも苦痛に
満ちていたからだ」
0115太田さんSSその1001/12/23 00:11ID:7i13xIZd

「でも」

「僕は今この世界が好きだ。だから、この世界を守るためにガディムと戦う。それは」
 鼻と鼻とが触れ合うような距離で。目を大きく見開いて。
「きみがいるからさ」
 夜気が弾けた。間近にあるはずの彼の顔も一瞬で崩れた。どこかで、あっさりと扉の
閉じる音がした。でもそんなことはもうどうでも良かった。脊髄を駆け上がった感情が
頭蓋で弾けると、それは大量の涙になって溢れ出た。何も考えられなかった。
何もいらなかった。ただ、こうしてだけいたかった。人気のない屋上がありがたかった。
 高級旅館、鶴来屋の屋上で。
 そして、想い人の背中に手を回して、思いっきり泣いた。
「とまあ色々なことを考えたかったわけだけれども、考える手間が省けたよ」
 照れ隠しなのか、彼はそう言った。
 彼女はそれにただただ、頷くばかりだった。


                           一旦おしまい。
0116太田さんSS後日譚01/12/23 00:11ID:7i13xIZd
〜余録〜

 後日、何もかもが終わってから、一部始終を覗き見ていたアストラルバスターズの面々に
さんざんからかわれることとなるけれども、それはまたそれで幸せな太田さんなのでした。

「あーあ、私も指輪くれるかっこいいひと、欲しいなあ……」
「瑞穂っ!!」
「きゃー」
                            おしまえ
0117おおさか@つちへん01/12/23 00:13ID:7i13xIZd
終わりでございます。
仕事が終わってから一気呵成で書き上げました。でも悪い方の(笑
ですので、特に後半がもにょってます。
あと、「太田さんSSといより月島先輩SSやんけ!」というツッコミは無しで
お願いします(笑 それ以外は甘受いたしますので。
ではでは、お邪魔しました〜。
0118名無しさんだよもん01/12/23 23:48ID:NZ23MJWX
使う人がいるからあげ。
0119しのさいか、支援ぇちSS01/12/23 23:56ID:zfh/GQYK
「なまけものさん…」
わさわさ
「お前…変わってないな」
「さいか、かわってるもん!」
「ま…そりゃ、そうだな」
この年なら、一年も経てばずいぶんと変わるだろう
だが…こいつの中身は、変わってない気がする
「どれ、俺が一つ試してやろう」
そう言ってさいかを抱きすくめ…
さわっ
「あわっ」
「…やっぱ、七歳じゃ発育は望めない…か」
(まあ、それでも十分楽しめるが)
などと思いつつ、さいかの胸を撫でる
「?」
不安げな顔で見上げてくるさいか
「安心しろ、痛くはない…と、思う」
「痛いの、やだ」
「分かった分かった、痛くはしないから」
言いつつ服の中にも手を伸ばす
さわさっわ…
わずかに自己主張する突起を集中的に攻める…が、効果は薄い
0120しのさいか、支援ぇちSS01/12/23 23:56ID:zfh/GQYK
「くすぐったい」
「ん…そうか」
だが、言葉には構わずに手を進める
いつの間にか上をはだけさせていた
幸い、この堤防に寄る者はほとんどいない
俺は、右手だけを胸から離し、太股へ這わせる
「はふっ…くすぐったいぃ…」
そこから、徐々に上へ…まだ何も生えてない割れ目へ
「んっ」
「…どうした?」
「へん、さいか、へんになりそう」
「それなら大丈夫だ」
なでなで、とんとん…クチュ
「濡れてきたか…」
…入れる気は無い、やったら後が大変な事になる
「んく、ふぁ…」
だんだんと、さいかの顔が紅潮してくる
0121しのさいか、支援ぇちSS01/12/23 23:56ID:zfh/GQYK
左手と口で胸を、右手で秘部を愛撫する
「だめぇ…んぁ…」
……
す、と手を離す
「え? …やめるの?」
「やめて欲しいんだろ? 駄目って言ったんだから」
「ううん…ゃって…」
「何だ? ちゃんと聞こえるように言わないと駄目だぞ」
「やってほしい…きもちいいから」
「わかった、けど、条件がある」
俺は、すっかり堅くなったモノを取り出す
「いいか、これを握って、擦ったり舐めたりしてくれ」
紅い顔をしたさいかは、素直に従った
0122しのさいか、支援ぇちSS01/12/23 23:56ID:zfh/GQYK
さいかの小さな口が俺の先端をくわえ、その小さい両手の平で俺のモノを擦っている
とろんとした眼で俺のモノをくわえてるさいかの顔を見ると…
…やばい、気持ちいい。最近禁欲的な生活をしたせいか
さいかの頭を抑えて、前後へと動きたくなる衝動を必死に押さえる
「はふ…ん…」
く…まずい、出る…
「さいか、口、離せっ」
「?」
さいかが口を離した直後
びゅく! びゅ、びゅるる!!
さいかの顔に、思いっきりかけてしまう
「あー、すまん」
「…?」
俺の精液がついた顔で、見上げられて…また、膨らんでくる
0123しのさいか、支援ぇちSS01/12/23 23:56ID:zfh/GQYK
「よし、それじゃご褒美だ…と、続けてろよ」
「うん」
さいかが俺のモノをくわえ、俺がさいかの秘部を指で愛撫する
「んく…ん…」
「くっ…舌が、止まってるぞ……」
ちゅぷ…くちゅ、くちゅ…
「んん…んっ!」
「いいぞっ…ぅ……くっ!」


「さいか…こども?」
「ああ、子供だ、胸も無いしな」
「うー……」
「…だが、子供だからって、悪いとは限らないぞ
 のんびり、大きくなれ」
0124魁☆あさひ萌え ◆ASAHIaMM 01/12/23 23:56ID:zfh/GQYK
>>119-123
しのさいか、ぇちぃSS、本編の一年後…細かい設定してないよ!(w
自身2度目のエロSS、しかも両方とも炉莉(w
トーナメント用…さて、どーなるか…
0125名無しさんだよもん01/12/24 00:23ID:bk+oj2bv
総裁!アンタ、こんなとこで何でロリ小説書いてんのさ!?
0126魁☆あさひ萌え ◆ASAHIaMM 01/12/24 00:30ID:zrnszr/o
>>125
しのさいか支援の為に決まっているじゃないですか(ぉ
SRCもペース落ちて来ちゃいましたし…また上げないとなぁ(汗
0127名無しさんだよもん01/12/24 00:59ID:bk+oj2bv
>>126
まぁいいけど、こみパ勢の試合の時は帰ってきてくださいよ(w
これ以上は著しくスレ違いなんで、これにて失礼。
0128名無しさんだよもん01/12/24 03:27ID:aIKt9UDe
なんかフローラ@雛鳥の囀り思い出した(w
0129名無しさんだよもん01/12/24 18:29ID:Z12ISJSG
長瀬祐介支援SSを書かせて頂きます。
雫トゥルーエンド後の話で、祐介×香奈子です。
一応18禁です。
しばらく書き込みをご遠慮して頂けると幸いです。
0130月(長瀬祐介)01/12/24 18:31ID:Z12ISJSG
僕は今日もこの部屋に来た。
静かに扉を閉ざすとそこはもう別世界だった。
白い、ただ白い部屋。
ベッドの上に彼女がいる。もう一つのベッドに月島さんがいる。
二人は明けない夜を生きている。

片手に抱えた名も知らぬ花。
あわせて買ってきたガラスの花瓶にそれを生ける。
誰も見ることのないオブジェ。それでも必要だと思った。

この部屋に来るたび、彼女に電波を送りたくなる。
けれど僕の言葉が届くことはないだろう。
彼女は月島さんを選んだのだから。
二人きりの、閉ざされた世界を選んだのだから。
この部屋に来るたび、僕はその事実を思い知らされるのだ。
自分は異端者でしかないことを確認させられるのだ。
それでも僕はここに通うことをやめない。どうしてだろう?
供養。
そう、供養に似ている。
花を供え、彼女の目の覚めないことを悼む。そして僕自身の恋心を悼む。
けして終わることのない、供養。
それは愚かな僕に対する罰のようでもあった。

彼女は優しいから、幼い頃から一緒だった月島さんを見捨てられなかった。
兄である月島さんを、見捨てられなかった。
ならば。
僕も瑠璃子さんのきょうだいに生まれたかった。
血縁という名の赤い糸で、生まれつき結ばれていたかった。

涙はなかなか涸れてくれない。
0131月(太田香奈子)01/12/24 18:32ID:Z12ISJSG
コンクリートに覆われた平坦な道を歩く。
辺りからはさまざまな音が聞こえてくる。でも、私の周りは静かだった。
私に声をかける人間は、今ではほんとうに数えるほどだ。

「おはよう、香奈子ちゃん」
「おはよう。瑞穂」
そのうちの一人、瑞穂が並びかけてきた。
ある春の日の朝。

私はあの人に壊された。
弄ばれ、蹂躙され、最後には玩具のように壊された。
あの人が私を罵る言葉を、あの人が私にした仕打ちを、今でも鮮明に思い出せる。
それでも彼のことが好きだと言ったら、人は笑うだろうか?

瑞穂はとりとめない世間話を続ける。
昨日のTVのことだとか、今日の天気のことだとか、他愛のない話。
それがどんなに私を慰めるか、瑞穂は知っている。
私が入院している間、瑞穂は毎日のようにお見舞いに来てくれた。
退院してからも、変わらない態度で私に接してくれた。
いくら感謝しても足りない。
けれど、以前のように瑞穂をまっすぐ見つめることはできない。

私はあの人に壊された。
授業中に卑猥な言葉を叫び、精神病院に送られた。
そしてあの悪夢の夜、あの人に操られて、私は瑞穂を犯した。
大切な友達を傷付けてしまった。

瑞穂は忘れている。
美和子も、由紀も、新城沙織も、あの夜のことを全て忘れている。
それなのに、私だけが忘れられない。
0132月(長瀬祐介)01/12/24 18:32ID:Z12ISJSG
彼女の言葉は嘘じゃなかった。
ここにいると、さまざまな声が聞こえてくる。
カナシイ。タノシイ。サビシイ。コワイ。イタイ。ウレシイ。クルシイ。ニクイ。
…イトシイ。
あらゆる感情が、心の声が、雨のように僕を打つ。

僕は世界に色と音を取り戻した。
騒がしくて、彩りに満ちた世界。
…でも。

(君の声が聞こえない)

こうして屋上に立つのは、彼女の代わりとしての行動なのだろうか?
それともこの電波の群れから誰かを見つけようとしているのだろうか?
多分、どちらも違う。
僕は待っているんだ。
彼女と触れたこの場所で。初めて電波を知った、この場所で。

(何よりも聞きたい声が、聞こえない)

背後の扉が開いたような気がした。
くすくすという笑い声が聞こえたような気がした。
「長瀬ちゃん」と呼びかける声がした、ような気がした。

もちろん、錯覚だった。
0133月(太田香奈子)01/12/24 18:33ID:Z12ISJSG
私は今日もこの部屋に来た。
静かに扉を閉ざすとそこはもう別世界だった。
白い、ただ白い部屋。
ベッドの上にあの人がいる。もう一つのベッドに瑠璃子さんがいる。
二人は明けない夜を生きている。

彼の顔を覗き込む。
かすかに笑ってさえいるような、安らかな表情だった。
閉じられたままのまぶたにそっとキスをする。
体重をかけないように気をつけながら、頬ずりをする。
肌にはぬくみがあって、彼が息づいていることを物語っていて、それが余計に悲しかった。
こうして身体を寄せていても、彼の心はここにはない。
少しだけ離れたベッドに眠る、瑠璃子さんのもとにある。
実の妹。許されないはずの恋。けれど、彼はその思いを遂げてしまった。

この部屋に来るたび、私は思い知らされる。
月島さんが選んだのは私ではない、その事実を確認させられる。
それでも私はここに通うことをやめない。どうしてだろう?
巡礼。
そう、巡礼に似ている。
神々しいまでの絆を見、自分の孤独を知る。
けして終わることのない、儀式。
それは愚かな私に対する罰のようでもあった。

悲しいはずなのに、もう涙は出ない。
私の乾いた目が、何かをとらえた。
…花?
色を失った空間に抗うように、花が咲いていた。
世界から忘れられたこの部屋に、誰が?
わかりきっていることだ。自分の他に、ここに足を運ぶのは――
0134月(長瀬祐介)01/12/24 18:34ID:Z12ISJSG
現実感を取り戻しても、相変わらず授業は退屈だった。
僕は浅くまどろみながら、窓から射す光を見つめていた。
細く磨かれた日射しが七色に揺れている。
…綺麗だな。
そう、世界はこんなにも綺麗なんだ。

教師が終わりの言葉を告げる。
僕らは机から解放される。
席を立とうとして、ようやく気付いた。

太田さんが僕を見下ろしていることに。

「長瀬くん」
凛とした声が響く。
狂気の幻想は捨てた。初恋も失った。
それでもなお、目をそらしていた声。
逃れられないことは知っていた。
いつかは――向き合わなければならない傷痕。
ただそれが今日だったというだけだ。

教室にいる他の生徒が、好奇の視線を投げかけてくる。
あの事件以来、ほとんど他人と接触しようとしなかった太田さん。
その彼女がクラスでも目立たない僕に何の用があるのか。
また、狂うのか。そんな下卑た期待がありありと感じられた。
こうした無神経な群衆も、未だに好きになれなかった。
だから僕は彼女を屋上に誘った。
自分が晒し者になるのが嫌だったのか、それとも彼女をかばったのか。
今でもわからない。
0135月(太田香奈子)01/12/24 18:35ID:Z12ISJSG
壊れてしまった私を、瑞穂は毎日のように見舞ってくれた。
けれどもう一人、その影を踏むように訪れる者がいたことを瑞穂は知らない。
それが彼――長瀬祐介だった。
注意深く、誰の目にも止まらないようにしながら、彼は何度も私の病室を訪れた。
そして私に向けて電波を送った。
ちりちりと懐かしい、それでもどこか月島さんとは違った感覚だった。
彼の電波は私の精神に入り込み、ばらばらになってしまった心を丁寧につなげていった。
それは途方もない大きさのジグソーパズルを完成させるような作業だった。
春休みを含めて二ヶ月近くも続いただろうか。
結果、私は奇跡的に回復し、三年生に進級することができた。
本来ならば彼に感謝するべきなのだろう。

…だけど。
戻って来た世界は、決して優しくなかった。
両親は私を腫れ物にさわるように扱い、瑞穂以外に友達はいなくなった。
あの夜のことを思い出し、死にたいと思ったこともしばしばだった。
これ以上瑞穂を悲しませたくない、そう思い直してはなんとか踏みとどまった。

そして何よりも、あの白い部屋。
二人きりの楽園。私を排除し続ける、楽園。
それは叶わぬ恋の残骸。

屋上の強い風が髪をなぶる。
私は目の前に立つ気弱そうな少年を見つめていた。
私はこれから、残酷な質問を、する。

「…どうして、忘れさせてくれなかったの」
どんなに困った表情をしても、許さないつもりだった。
でも、彼は。
あいまいに、けれど、確かに…微笑んだ。
0136月(長瀬祐介)01/12/24 18:36ID:Z12ISJSG
「…忘れて欲しくなかったから」
僕はそんな台詞を呟いていた。

「…太田さんには、忘れて欲しくなかったから」
「勝手なことを言うのね」
「……」
「他人を操って、記憶をいじりまわして、神様でも気取ってるの!?」
彼女は声を荒げる。

「少しも優しくないこんな世界になんか、戻って来れなくてもよかった!!」
「……」
「届かない思いを抱いたまま、これからの一生を過ごすくらいなら、忘れてしまいたかった」
「……」
「…どうして、忘れさせてくれなかったの」
彼女はもう一度同じ質問をした。

「…だって…残酷だよ」
僕はゆっくりと口を動かした。

「知っているから。君がどれだけ月島さんを好きだったか、知っているから。
 あんなにずたずたにされても、君の心は月島さんを思っていた。
 その気持ちを消すなんて、僕には…できなかった」
「…長瀬、くん?」
彼女が驚いたような顔をしている。なんだろう?
ああ…そうか。
僕が、泣いているんだ。
0137月(太田香奈子)01/12/24 18:37ID:Z12ISJSG
長瀬くんは…微笑みを浮かべたままで、ぼろぼろと涙をこぼしていた。
それは表情を歪めて泣き叫ぶよりも痛々しく思えた。
夕日が私たちを赤く焼く。

「僕はただ、みんなに幸せになってほしかった。
 あの夜の記憶を消すことで、日常を取り戻して欲しかった。
 …でも、瑞穂ちゃんから君の記憶を消すことはできなかった。
 君のことを忘れたままで、彼女が幸せになれるとは思えなかったから」
…ああ、この人は芯からそう思っている。
涙を拭おうともしないその態度が、なぜか気高く感じられた。

「…だから、君にも忘れて欲しくなかった。
 本当に愛しく思った人のことを、覚えていて欲しかった。
 それがどんなに辛くても…」
そこで言葉を切る。

「…僕も、瑠璃子さんのことを忘れたいとは思わないから」

そう。
彼も失っているんだ。どうしようもなく好きだった人を。

「ごめんね…。僕の、わがままなんだ」
作り笑いがとうとう崩れ、切ない表情に変わる。
泣くことをためらわなくなった頬を、雫が伝った。
私は…

「…太田、さん?」
意識した行動ではなかった。
でも、気が付いたとき、私は彼を抱きすくめていた。
0138月(長瀬祐介)01/12/24 18:38ID:Z12ISJSG
どうしてこうなったのか、よく理解できない。
涙を流し続ける僕を、彼女は抱き締めた。
長瀬くんも寂しいんだね、と言って、彼女は少し笑んだ。
そのまま二人は動かずにいた。
しばらくして、彼女が急に顔を上げ、僕を家に誘った。
僕はなぜか断ることができず、彼女についていった。
そして夜のとばりが下りた今、僕と彼女は向き合っている。

しゅるり、と音をさせ、制服のスカーフをほどく。
上着を留めるボタンを一つずつ外していく。
僕はようやく我に返って、彼女の肩を掴んだ。

「…駄目だよ、太田さん」
「…どうして?」
「良くないよ…。こんなの、傷の舐め合いでしかない」
「…それでもいいよ」
彼女の唇が、僕の首筋に触れる。

「この痛みを分け合えるのは、長瀬くんだけだから」
セミロングの髪が、僕の頬をくすぐる。
シトラスミントのシャンプーの香りがした。
僕はもう…抗えなかった。

彼女のスカートが床に落ちる。
下着とソックスだけの姿になって、太田さんは僕の前に立った。
彼女の身体を見るのは初めてじゃない。
でも、今の彼女が一番綺麗だと思った。

そこに心があるから。
0139月(太田香奈子)01/12/24 18:39ID:Z12ISJSG
「あ…」
長瀬くんがそっと私を横たえる。
覆い被さるような姿勢になって、じっと私を見つめてくる。
私は両手で顔を隠した。
恥じらいの気持ちもあったけれど、それ以上に頬に残る痕を見られたくなくて。
でも、長瀬くんはその手をどけて、私の頬を撫でた。
そして痕をなぞるように舌を這わせる。
子犬になつかれているような感覚に、私は安らいでいた。

おずおずと遠慮がちな手が、私の乳房に触れる。
じれったいはずのその愛撫にも、私の身体は敏感に反応する。

「ふあ…やッ…」

私は本当にいやらしい女の子になってしまった。
だけど、あの人から教えられたことだから、それすらも誇らしく思えた。

…それだけなの?
身体が求めるから、誰にでもいいから抱かれたかったの?
…だったら、どうしてこんなに胸が苦しいの?

ああ…
もう、認めてしまおう。
私はこの優しいクラスメイトに抱かれることに…
胸の高鳴りを、覚えている。
0140月(長瀬祐介)01/12/24 18:39ID:Z12ISJSG
彼女の身体を包む、最後の衣服を脱がせる。
彼女はわずかに不安そうな表情を見せる。
そこはすでにしっとりと潤って、きらきらと月光を反射していた。

「…ごめんね。私…いやらしいんだ…」
「…僕だって、そうだよ」
恥ずかしさをこらえて彼女の手を導く。
その手が触れた部分は、硬くふくらんでいた。
彼女が心底楽しそうに笑った。

「ね…してあげる」
「え?」
何のことかわからず、間抜けな返事をする僕。
その隙をつくように、彼女が僕の股間に取り付いた。

「お、太田さん?」
ジッパーを下ろし、下着をまさぐる。
ほどなく、みっともない位にそそり立った僕のものが顔を出した。
狙いすましたように彼女がそれを口に含む。

「うぁっ…お、太田さん…」
その温度と感触に、僕は悲鳴のような声を上げる。
彼女の舌が僕のこわばりを弄ぶ。
強烈な快感に不意打ちされ、身体の力が抜ける。

「だめっ…だよ…そんな…」
「ふふ…女の子みたいな声」
彼女はわざと大きく音を立てる。その音色にさえ、僕は高ぶってしまう。
深く飲み込んだかと思うと、唇で先端を引っかける。
情けないけれど、僕は早くも限界を迎えそうだった。
0141月(太田香奈子)01/12/24 18:40ID:Z12ISJSG
私の動き一つ一つに、長瀬くんは面白いほど反応してくれた。
口の中のものがぴくぴくと震えて、彼の限界が近いことを知らせる。
慌てて引こうとする腰を抱え込んで放さない。
少し遅れて、熱いものがほとばしった。
それをこぼさないように注意しながら、ゆっくりと彼を解放する。

「んっ…」
「ご…ごめん。僕…」
申し訳なさそうにする長瀬くん。
私はこくんと喉を鳴らして口の中のそれを飲み込んだ。

「お、太田さん!?」
「…はぁ…濃い、ね…」
長瀬くんは酔ったような表情で私を見つめていた。

彼の息が粘膜に吹きかかる。
さっきの仕返しとばかりに、長瀬くんが私のそこに顔を近づけていた。

「あ…さっきより濡れてる…」
「やだ…言わないでよ…」
それ以上追求されたら、いくら私でも恥ずかしい。
お願いした通り、長瀬くんは次の言葉を紡がなかった。
その代わりに、そこに舌を這わせる。

「…あっ! んんっ…!」
頬に触れたのと同じ感触、でも明らかにそれよりも淫らな動き。
身体の芯から熱が上ってくる。
いやいやをするように首を振っても、長瀬くんは許してくれない。
今度は私が悲鳴を上げる番だった。
0142月(長瀬祐介)01/12/24 18:41ID:Z12ISJSG
「長瀬くん…。お願い、もう…」
切なそうな声に、僕は顔を上げる。
彼女が差し迫った表情でこちらを見ていた。

「…いくよ」
「…うん」
彼女を愛撫し、艶のある声を聞いているうち、僕のそれはすっかり硬度を取り戻していた。
先端を、入り口にあてがう。
お互いに初めてではない。このまま腰を沈めれば、たやすく一つになれるだろう。
けれど、ここまで来て、僕はためらっていた。

と、僕のうなじに彼女の腕が回された。
そのままほんの少しの力をかけられ、二人の顔が接近する。
間近で見る太田さんの瞳は、潤んでいるように見えた。

「…月で、いいから」
「え…?」
「日射しを受けて輝く、にせものの光でいいから。彼女の代わりでいいから」
「……」
「…だから、今は私を抱いてください」

…僕らは、間違っているのかもしれない。
余計に傷を深くするだけの行為なのかもしれない。
それでもこのとき、僕は太田香奈子という人を…愛しいと思ったんだ。

腰を沈め、彼女の中に埋没していく。
僕と彼女は、隙間なく満たし合った。
0143月(太田香奈子)01/12/24 18:42ID:Z12ISJSG
「はぁぁ…」
最奥まで塞がれる感覚に、背中が震える。
私の中は長瀬くんでいっぱいになった。
知らず、目尻から涙が伝い落ちる。
…ああ、私はまだ泣けるんだね…

「太田さん…」
私の涙に気付いた彼が、気遣わしげな声をかける。

「ん…平気。動いて…」
照れくささを隠して、長瀬くんに促す。
彼がゆっくりと運動を始める。
水音をさせて、二人の身体がぶつかり合う。

「ん…あっ…あっあっ…」
「ふぅっ…」
意味をなさないため息のような声だけが、部屋の中に響く。
長瀬くんの腕が意外にたくましく思えて、私は安堵する。
…でも、一つだけ気がかりなことがあった。

「な…長瀬くん…」
「…なに? 太田さん…」
「あ…あのね…」
自分の顔が真っ赤になっているのがわかる。

「…ゆるく、ない?」
「…えっ? そ、それって…」
「だ、だから、私の…」
「…き、気持ちいいよ。すごく」
…良かった。
0144月(長瀬祐介)01/12/24 18:43ID:Z12ISJSG
彼女の唐突な質問には驚かされた。
…やっぱり気になるものなのかな…
彼女がそんな心配をしていることが、少し可笑しかった。
そして同時に、彼女のことを可愛いと思った。

こうして身体を重ねていると、気持ちいい。温かい。
けれど言葉が出なくなってしまう。それがもどかしい。
心でも繋がりたい。
そう思って、いっそう激しく彼女を求める。

「あ、あ、ひぅっ…!」
「…っ、太田さん、太田さん!」

でも、快感にもやがて終わりがやってくる。
僕は再び限界を迎えようとしていた。
彼女も荒い息をついて、何かを耐えるようにしている。

「太田さん…僕、もう…」
「…来て、長瀬くん。全部…私に…」

その言葉を引き金に、僕は欲望を放った。
同時に彼女の身体がけいれんするように震え、僕をきつく抱き締めた。
しばらくすると、それも力尽きたのか、くたりと脱力した。

お互いの呼吸音だけを聞きながら、僕たちは余韻に身を委ねていた。
…君の心はわからない。
でも、電波で知ろうとは思わない。
こうして抱き合っている「今」だけは、本当のことだから。
0145月(太田香奈子)01/12/24 18:44ID:Z12ISJSG
「…本当は、仲間が欲しかっただけなのかもしれない」
長瀬くんがぽつりと言った。

「あの夜のこと。僕の失った狂気と…恋。
 辛い記憶を、一人で持っていたくなかったのかもしれない。
 だから、君を…」
彼の口元に人差し指をあてがい、そこから先を封じる。

「…それでもいいよ。
 闇の中から私を連れ出してくれたのは、長瀬くんだから」
自分でも不思議なくらい自然に笑えた。

「それに…私たちは似ているから。同じ、だから」
なぜか彼は驚いたような表情を見せた。

「…だからね、長瀬くんとなら、いられると思う」
「…そうだね」

そう、まだお互いの心なんて少しもわかっていないけど。
自分自身の傷の深さすら、理解していないのかもしれないけど。
今はこうして二人でいる。

「…ねえ、長瀬くん」
「…なに?」
「…キス、して?」

彼は少し戸惑っていたけど、やがて意を決したように顔を寄せてきた。
私はマナー通りに目を閉じ、少し顎を上げた。

眩しいくらいの月明かりを背景に、二つの影が重なった。
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