「お兄ちゃん、星が綺麗だね……」
 わたしは夜空を見上げながら、隣りに佇むお兄ちゃんに話し掛ける。
「……まあ、マシな方かな」
 ボソボソとしゃべるお兄ちゃん。もう、本当に素直じゃないんだから。

 冬の夜は空気が澄んでいて、ここにいても光の強い星を見ることができた。
 …わたしが生まれた場所の夜空は、どんなのだったんだろう?
 今のわたしは、思い出せないでいる。
 見たことの無いお父さんと、いなくなっちゃったお母さんと一緒に。
 それでも、寂しくない。
 だってお兄ちゃんが、こうやって側にいてくれるから。

「…寒くないか?」
「うん、大丈夫」
 そう言ったけど、ちょっとだけ夜風は冷たかった。
「……みさお、動くなよ」
「えっ?」
 少し疑問に思いつつ、それでも頷く。
 するとお兄ちゃんは、わたしの後ろに立ち、
  ぎゅっ。
「わっ、お兄ちゃん!?」
 背中を抱きしめてくれた。
 思ってもいなかったことでちょっとだけ驚くわたしに、
「動くな」
 お兄ちゃんは、耳元で囁いた。