同族の匂いを感じさせたとはいえ、見ず知らずの男が『俺は君の叔父さんだ』と言っても信じる素直さ。
 相手の言うことを聞き入れる従順さ。
 日常生活においては非常に大切な要素ではあるが、戦いという非日常の世界ではマイナスにこそなれ何らプラスにはならない。
 三人の姉、そして耕一の代わりにセコンドを買って出た柳川の心中には穏やかならないものが渦巻いている。
「と、いうわけで」
 何が『と、いうわけで』なのかわからない顔をしている初音に、柳川は二つのモノを差し出す。
 片方は毒々しい色をしているキノコ、もう片方は鈍く光る拳銃だった。
「ひっ・・・!」
 あまりにも物騒なモノを目の当たりにして、初音は思わず息を飲んであとずさった。
「素直すぎて戦いには不向きな君のために、ささやかながら武器を用意してきた。君のお姉さん謹製のこのキノコを食べた後に、この押収品のトカレフを乱射すれば勝利は間違いな
「やめんか」
 皆まで言わさず、重い鬼の拳の一撃が柳川の頭のてっぺんに振り下ろされた。
 地面に突っ伏す柳川。
「ったく。初音ちゃんを犯罪者に仕立て上げるつもりか?」
「うっ・・・ううっ・・・こういちおにいちゃあん・・・」
 初音は柳川に一撃を加えた主の胸に飛び込む。
「初音ちゃん・・・この男の代わりに俺がセコンドに付くよ」
「ありがとう・・・耕一お兄ちゃん・・・」