葉鍵最萌えトーナメント。
 128の葉鍵キャラが『最萌え』の称号を得るべく闘う勝ち抜き戦である。
 いや、『葉鍵キャラのファンが闘いを繰り広げる』という方が正確か。
 己の萌えキャラの戦い振りに熱狂する観客。
 試合の結果に一喜一憂する観客。
 進行そっちのけで実弾を回収する観客。
 飛び交う怒号、歓声、そして権謀術数。
 今日も葉鍵キャラが次の戦いへとコマを進めるべく闘いを繰り広げる・・・。


 選手入場の時間になった。
『萌え』に飢えた数多の観客の目が選手入場門に注がれる。
 しかし。
 突如、葉鍵最萌えトーナメントの、その殺伐とした雰囲気をブチ壊すような音楽が流れた。
 不安、緊張、憎悪、といったあらゆる負の感情を洗い流すような旋律。
 しいて言えば茶の間の暖かな雰囲気を醸し出すような旋律だ。
 そして現れる一人の女の子。
 その四肢と胴は細長く、身長もお世辞にも高いとは言い難い。
 その代わり、ピンと立っている一房の癖毛がその低い身長をカバーしている。
 くりくりとした瞳はぱっちりと開かれ、愛らしい大きさだ。
 白いブラウス、胸元のリボン、チェックの入った短めのスカート、そして背中に背負われたランドセル。
 ランドセルの存在が彼女の外面的な幼さを際立たせている。
 観客席が一部盛り上がりまくる。
 その歓声の主は、特殊な趣味を持つが故に世間からはマイノリティとして認識されている男達だ。
 会場の雰囲気に気圧され、おろおろしている様子が男達の庇護欲をますます刺激する。
 柏木初音。
 彼女の名前だ。