大学生は、二通りの人種に分類される。
 制限単位数一杯まで科目登録を行い、単位を取得すべく地道に勉強している人間と
最低限の科目登録しかせずに、余った時間を人生勉強の名を借りたグータラ生活に充てている人間である。
 尤も、日常生活においては、この二者の相違が顕在化することは全くない。
 互いに干渉しあう事もなく、各々の学生生活に勤しんでいる。
 しかし。
 夏休み前、そして春休み前の試験期間においてはこの二者の間で壮絶な駆け引きが繰り広げられる。
 単位を取得できるかできないか。
 阿鼻叫喚の地獄絵図の中、授業ノートを借りるべく、後者が前者に泣きつくというのは
何処の大学ででも見られる風景だろう。
 余裕を持って科目登録をしている前者に比して、ギリギリの科目数しか登録していない
後者のひとつひとつの試験の重要性は否が応でも増大するからだ。
 一つでも単位を落とすと留年の危険性が飛躍的に高まるスリリングなシチェーション。
 だが、逆に言えば、日頃のんびり遊んでいる連中を横目で眺めつつ勉強に勤しんできた前者が
唯一優位にたてる時期であるとも言えよう。
 この二人の大学生も例外ではなかった。