千鶴が言葉を続けようとするのに構わず、梓は一気に詰め寄る。
「何ソレ!? どういう意味!? 耕一に自由な恋愛を許すなってコト?
 おまけになんだよ、その『私達は柏木家の受け皿』って! なんで耕一と一緒になる事まで
柏木家の血とやらに決められなくちゃなんないんだ!? そんなに耕一とその・・・

生まれてくる子供の事が心配なら千鶴姉が耕一とくっつけばいいじゃないかっ!! 」
「梓・・・。私が東京に行けばどうなるか・・・。叔父さまから受け継いだ鶴来屋とそこで働いている方々
そしてその御家族はどうなるか・・・。解って・・・」
「なんだよっ!! 赤の他人の事を心配して実の家族、妹の事はどうでもいいのかよっ!!
 ふざけんなこの偽善者!!」
 梓は続ける。
「大体な、千鶴姉が無理して鶴来屋を預かるこたないんだ。売却するか足立さんに経営を任せれば
いいじゃないか!! 叔父サンだって千鶴姉の負担になるような鶴来屋なんか無い方がいいって解ってくれるハズだっ!!
 第一耕一は・・・耕一は千鶴姉のことが好きなんだから・・・それくらいあたしにもわかってる・・・」
「梓・・・」
 千鶴は強気に聞こえる梓の怒鳴り声の中にも一抹の寂しさがあるのを感じ取っていた。
「耕一は千鶴姉のことが好きなんだから・・・。それが解っててこのあたしに『耕一さんと一緒になれ』だ!?
 あたしをバカにしてんのか!! なんであたしが千鶴姉のおこぼれに預からなきゃならないんだっ!!」
 梓の容赦ない言葉の前には千鶴も黙っているほかなかった。
 言葉が途切れるまでは。