試合場へと続く廊下に、柳川祐也はひとり立っていた。
扉の向こうからは絶え間なく歓声が聞こえてくる。
しかし彼から見れば、それは中身のない祭り騒ぎにすぎなかった。

…下らんな。
柳川は心中で毒づく。
なぜ奴等は、こんな馬鹿げたことで熱狂できる?
彼の心を躍らせるものは「狩猟者」としての悦びの他に存在しない。

…だが、俺にはこの大会に出ねばならない理由がある。
あの男――青紫を、殺す。

その名を思い浮かべただけで、血液が逆流しそうになる。
我ら「狩猟者」の誇り高き戦。
その物語に泥を塗った罪は、重い。

「首を洗って待っていろ。
 …貴様は、俺の獲物だ」

レンズの奥の瞳が、朱く裂ける。

「…狩ってやる」

――柳川祐也、入場。