「ふぅ」
「お疲れ様でしたー」
 雨の中、一人立っていた少女が、そう声をかける。
「有難う」
「残念…でしたね」
 言い難そうに俯く佐祐理。
「なに、僕には充分すぎる結果さ…それに」
「……?」
「どうやらまだ、一人きりにはなっていないようだしね」
 片方の眉をぴくり、と動かす久瀬。
「そうだな」
 控え室の扉が、かちゃりと開けられる。
 そこに立っている、二人の人影。
「お前は…相沢に川澄さん」
「よぅ、迎えに来たぜ」
「どうして…僕なんかを…」
「…武士の情け」
 その言葉に、久瀬の口から軽い笑みがこぼれる。
「そりゃあどうも」
「さぁ、行くぜ。雨も上がったことだしな」
 祐一が先頭に立って、控え室を出てゆく。
 ため息一つついて、久瀬は勢いよく席を立つ。
 見上げれば、雨上がりの空は青く、木々に残った雨滴がきらきらと太陽に輝いていた。
「さて、行きますか」

 久瀬、退出。