「藤井冬弥ってのは、あんたか?」
いきなり名前を呼ばれて、俺は声の方を向いた。
見知らぬ男子高校生が俺をじっと睨んでいた。
前髪を長く伸ばしていて表情は窺えない。
くせっ毛なのか、頭の天辺の髪がひとふさ跳ねていた。
少しルーズに着こなした制服姿からは、不良っぽいイメージを受ける。

「確かに、藤井冬弥は俺だけど…君は?」
俺が問い返すと、少年はがりがりと頭を掻く。面倒くせーな、という心の声が聞こえてきそうだ。
「自分の前の試合くらい観とけよ。俺は岡崎朋也だ」
年下とは思えない、ぞんざいな口調で言う。
「朋也って…ああ、久品仏大志に大差で負けた」
「…ほっとけ」
憮然として呟く。
その試合の結果は知っていたが、本人を見るのは初めてだった。
緊張のせいで観戦どころではなかったのだ。

「…で、その岡崎朋也が、俺に何の用?」
まさかとは思うが、葉っぱキャラである俺に差し向けられた鍵の刺客なのだろうか?
いやしかし、俺の対戦相手は(一応)同じ葉キャラだ。
葉っぱ同士でつぶし合うのだから、むしろ鍵陣営にとってみれば好都合なはずだ。
だいたい葉キャラを狙うのなら、俺なんかよりも先に倒しておくべき奴がいる。
さっきの久品仏大志だってそうだし、他にも藤田浩之、長瀬祐介…
そもそもそれ以前に、闇討ちまでする必要があるのだろうか?
所詮はネタスレなんだから(暴言)楽しくマターリ進行できればそれでいいじゃないか。

しかし、朋也の次の言葉は、俺の予想外のものだった。

「俺は…あんたを応援しにきたんだ」
「…ええっ!?」