試合開始から1時間半、大志と雄蔵はただひたすらに会場を見つめていた。
「久品仏・・・この試合どう見る?」
「相手が悪すぎる、同士和樹の勝利はまずないだろう」
「やはり奇跡が起こらぬ限り勝ちはないか」
「奇跡? そんなものは存在せぬよ。それに起こるかどうか解らぬものに期待してもしょうがなかろう」
「そうか、ならば何故お前はここにいる? 試合も近かろう、準備はいいのか?」
「さあな、我輩にもわからぬ。だが待っているのかも知れぬ、奇跡とやらが起こるのをな」
「そうか」
 そして二人は会場へと向きなおした。奇跡が起きる瞬間を見届ける為に。