あった、あった、小説2巻。以下ほぼ全文丸写し。
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「えーと、あなた……里村茜さん?」
 商店街を歩いているときに、茜の前で車が停まり、誰かに声をかけられた。
 ベリーショートに近いショートへアに、かっちりとしたスーツを着た女性だ。
「……あの、すみません。どなたでした?」
 30代半ばくらいに見えるその女性に全く心当たりがなかった。
 その女性はあはは、と軽く笑った。
「よく考えればあなたは寝てたのよね。ごめんなさい。私、小坂由起子です。
 あなたが倒れた時にちょっとお世話したのだけど」
「……あっ、あなたが。その節はいろいろお世話をかけました」
 言われてみるとくっきりとした眼や、顎のラインに浩平の面影がある。
「忙しくなければそのへんでお茶しない?」
「……はい」
 誘われるままに浩平につながる人の車に乗った。
 幹線道路に出て少し行ったところに、洒落た感じのティールームがある。
 その前に由起子の車は停まった。
 店にふたりで入り、窓際の、景色のいい場所に座って、ゆっくりメニューを決める。