結局のところ、浩平に対して良き母親にはなれなかったらしい。
近所の瑞佳ちゃんが相手をしてくれることで泣き止むようになったらしい。
それも人づてに聞いた話で、浩平から直接話を聞いたわけではない。
いや、それをいうなら、会話自体ほとんど行われていない。
夕食とて用意できない有様だ。
すべて仕事に忙殺されてしまう。

「仕事が好きだから」

そんなのは言い訳だ。自分にそう言い聞かせているだけだ。
女手ひとつで借金を返しながら子供を育てるのはどこかに無理が生じる。
会話は無い。親子としての接点も無い。ただ家には寝に帰っているだけ。
そうしないと現実世界で生活は出来ない。愚痴がこぼれそうになる。
でもそれだけはしてはいけない。自分が望んで浩平を引き取ったのだから。