「せっぽう」等という代物のせいで折原家に財産が無いであろうことを。
いや、財産どころか多額な借金が出来てしまっているであろうことを。
その名義が姉だけでなく息子である浩平のものもあるであろうことを。
浩平を引き取るということは、その借金をも受け入れねばならないであろうことを。
元を正せば娘であるみさおが入院してしまったこと。
娘が訳のわからない病気になってしまったこと。
その対処方法が分からないが為に神頼みに走るしかなかったこと。
いやいや、それを言うならそんな時に助けてくれる筈の夫がいないこと。
夫が他界してしまった後も、追い討ちをかけるように実の娘が奪われていく。
何かが壊れてしまったのだろう。何かが狂ってしまったのだろう。
そんな姉をとめることが出来なかった。助けてあげることが出来なかった。
そんなところに負い目を感じているのかもしれない。
残された浩平を引き取るには、

「放って置けなかった」

その程度の決意や覚悟では済ませられない程責任がかせられる。
なんの見返りもなしに。
自分の血を分け与えた子供でもないのに。
亡き義兄に想いを寄せていたのかも知れない。その忘れ形見だから浩平引き取った、
そんな下種な考え方もあろう。
本当に幸せそうだった姉夫婦を見ていただけに、これ以上不幸にならないよう浩平
を引き取ったのかもしれない。
なんにせよ自分の幸せに対しては大きくマイナスだ。
自分が結婚しようとした際にはデメリットにしかならないであろう。
それよりも「母」になったことの無い自分に、浩平の母親代わりになれるのであろうか。
前途は多難である。
が、これ以上不幸にさせてはならない。このままではあまりにこの子が不幸すぎる。