葵「へ?」
 琴音の様子に素っ頓狂な顔をする葵。
 そんな葵をよそに琴音は笑いが止まらなくなったらしい。
琴音「すみません・・・・・笑ったりして・・・・・でも・・おかしくって・・・・・」
葵「あ・・・・あはは・・・・・そ、そうですか?」
琴音「それにすごくいい人です。」
葵「え?いい人・・・・ですか?」
琴音「はい。」
葵「そんな!私!色々気付かないでばかな事言っちゃったりしちゃうし!」
琴音「仮にそうだとしても、いい人には違いありません。」
 笑顔で断言する琴音。
葵「あ・・・う・・・・」
琴音「もしかして照れてます?」
 琴音はいたずらっぽい口調で言う。
葵「う〜。」
 葵は真っ赤になってしまう。少し度が過ぎたと琴音は話題を変えることにした。
琴音「そういえば松原さんはどうして格闘技を始めたんですか?」
葵「え?・・・・・・・あ!格闘技ですか!それはですね!・・・・・・」
 自分の得意な話になったので勢いを取り戻して話し始める葵。
 葵のこの手の話は大抵の人間にとって苦痛でしかないのだが、琴音は黙って聞き続けていた。
 時々出てくる専門用語が解らなかったりするが、葵がいかに格闘技が好きかが痛いほど伝わってくる。
 それは琴音にとってすごく新鮮であるとともに、今まで一人だった自分にそんな話をしてくれるという事自体がとても嬉しい事であった。
葵「あ!ご!ごめんなさい!私また一人でべらべらと・・・・・・・」
 葵がそんな自分に気付いたのは15分程話し続けてからだ。
琴音「ううん、それよりその後どうなったの?綾香さんって人チャンピオンになれたの?」
 嫌がりもせずに話を聞いてくれる。それどころか楽しそうに自分の話の続きを聞いてくれる。葵はそれが嬉しくて嬉しくてたまらなかった。