杜若きよみを失った悲しみを受け入れられず、
その覆製身を生み出すことで心の透き間を埋めようとした科学者
犬飼俊伐。

覆製身であるきよみは、犬飼の手によってこの世に生を受ける。
犬飼はきよみに、より『杜若きよみ』であることを求めた。
しかし、裕福な名家で豊かな愛情を受けて育った『杜若きよみ』と、
裕福とは言い難い犬飼の、歪んだ愛情を受けて育ったきよみとでは、
どうしても隔たりがあった。

「『杜若きよみ』はそんなことは言わない!!」
「『杜若きよみ』はそんな風には考えない!!」

犬飼の嘆きがきよみを苦しめる。
きよみは自らのアイデンティティーの寄る辺を求めて思い悩む。
苦しみのあまり自殺しようにも、その身に宿る仙命樹が、
容易にはそれをさせてくれない。

年月を経て、きよみは自分が犬飼に惹かれていることに気が付く。
出来るものなら、自分がその『杜若きよみ』その物になりたいと。
だが、犬飼の興味は次の覆製身へと移っていた……。

そんな不幸な、だけどそれを振りかざして人に寄っかかったりはしない
健気な覆製身きよみにどうか愛の手を!!

つーわけで覆製身<<きよみ>>に一票です。