いつもと同じ、たった数分間の下校の時間。
一緒に帰る、というにはあまりにも短い時間。

「先輩には、夢ってあるのか?」
でも、その中で交わされる言葉はいくつもの想いが混じっている。

「うーん、そうだね。いろいろあるよ」
「例えば?」
「紅葉狩りに行って、帰りに夕日を眺めるとか」
「気持ちいいだろうな」
「雪山に行ってかまくら作るとか」
「楽しそうだろうな」
「海に行ってスイカ割りするとか」
「スイカは俺も好きだな……って、先輩が言うと、全部食べ物を連想するのは何故だろうな?」
「うわ、ひどいよ」
「天ぷらに焼き芋。きりたんぽに雑煮。スイカにかき氷。……先輩の大食いがうつったかな?」
「そんなに食いしん坊じゃないよ〜。浩平君、ちょっと意地悪だよ〜」

ぷい、と拗ねたように横を向くみさき。
その顔は、怒っているようで、笑っているようで。
そして悲しそうで。

「冗談だよ、先輩」
「……でもね……やっぱり夢なんだよ」

ぽつりと呟くと、浩平の方に向き直った。